ガス・ヴァン・サント監督『エレファント』→吉田大八監督『桐島、部活やめるってよ』
の手法を用いて、
ボルダリングに打ち込む小寺さんと、小寺さんに影響される周りの人達を描く青春群像劇。
小寺さんに何故魅せられるのかは、観客にも良くわかる。
周りにどう見られたい、とかこれをやれば将来得するとか関係なく、群れることもせず、ただひたむきに自分のしたい事をしているだけ。
いや、ひたむきという言葉も適切かどうかもわからない。自然に、夢中になれる事を楽しんでやっているようにしか見えない。
（小寺さんを「桐島」でいうなら、甲子園予選で負けたのに夜中に素振りを続ける野球部キャプテンに近いかなぁ。）
好きな事だけでなく、学園祭の準備や、合唱の練習なんかの普通の生徒は面倒くさがるような事も一生懸命（でも自然に）やる。
そんな小寺さんに触発され周りの生徒が、それぞれ自分のやりたい事と向き合い、懸命に努力し、一歩前に進んでいく。
ポジティブの伝搬（宮台真司さんが一時よく言ってたミメーシスというのはこういう事なのかも）。
やや、文部科学省推薦的な優等生感は感じたが、それでも役者の演技も込みで爽やかな感動を呼び起こす良作でした。
