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メイキング・オブ・モータウンのmaiのレビュー・感想・評価

3.9
出てくる曲は知ってる…くらいの薄い知識しか持ち合わせていなかったから、初めの部分は眠たくなってしまったのだけれど、映画の内容がだんだんとセールスだけでなく、その内部での人間関係や関係性の特殊さにフォーカスされるにつれて面白くなっていった。
お互いにライバルではありつつ、戦友でもあるから、お互いを憎んだり蹴落とそうとかはせずに、いつでも相手に率直な意見を伝える…確かにそれがお互いを高めあうための理想の手段ではあるのだけど、実際にそれを実行するのってすごく難しい。さらに言えば、自分がやりたくないことや無意味だと思うことに関して、ノーを言うことも難しいはず。それを地で行き、さらに男女間の権力格差なんてものもなかったのだから本当に理想的な組織だと思う。一方で、その方針が社長の考えに従ったものであるからこそ、意見はいうけれど根本に流れる会社としての建前などに反旗を翻す人がいるのも当然だと思った。
ヒットを次々と生み出した「組織としての柔軟性」と、その柔軟性を支えるための「きっちりと固められた社風」との折り合いの難しさが垣間見えるようだった。でも、会社に対して憎しみを持ち合わせずに、会社を出ていった人が「自分には別のやりたいことがあったから」と自由に語れるのも、会社が家族のような柔軟な姿勢でいた何よりの証拠なのかなと思った。
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