アカエリヒレアシシギ

なぜ君は総理大臣になれないのかのアカエリヒレアシシギのレビュー・感想・評価

4.0
「政治に虜となり蝕まれた男と家族のノンストップドキュメンタリー」

現 立憲民主党 小川淳也のこれまでとこれからを映したドキュメント。映像は2003年の民主党から初出馬した時からはじまり、2005年の初当選、民主党政権時代、民主党腐敗、希望の党からの出馬、無所属時代、現在の立憲民主党への流れとなる。

ボリュームゾーンは、2017年の希望の党から出馬した第48回衆院選の様子か。同じ当選でも小選挙区選出か比例選出かで党内立場が異なることが語られたうえ、当人だけでなく両親・家族まで巻き込んだ選挙区での容態が記録され、混乱と葛藤のなか行われる命がけ選挙戦の様相は引き込まれる。

また小川淳也の選挙戦に焦点を当てながら、同選挙区候補の自民党 平井卓也氏の肉親が同地区で多くの出稿量を誇る地域新聞社の社長であったり、選挙当日の天候に選挙結果が左右された可能性があったりするなど、日本の選挙制度そのものに対して、しがらみや運要素が一定程度あることへのアンチテーゼも垣間見えた。

映画鑑賞に際し、汚く・醜い見方をされる政治家の中に、行き過ぎたような素直さを兼ね備えた人物が、しかも野党側に存在することに驚く人も多いのではないか。
「見えないものを見えるようにする」ことを体現した今作の価値が、口コミ評価に現れていることがよくわかる作品。映画のメディア的機能とその重要性を存分に感じることができた。