あさ

なぜ君は総理大臣になれないのかのあさのレビュー・感想・評価

4.5
気になってたやつ…。配信されて覚悟してようやく見た。今の社会に少しでも違和感を覚えたことのある全てのひとに見てほしい。
「絶望と闘っている」という言葉が全てを表している。この絶望とは国民である私が戦うことを諦めた概念。それを17年以上、悩みながらも信念や理想を持ちながら踏ん張ってる人がいたこと、その存在にこの映画がなければ気づかなかった。もちろん映画を通して見れるのは彼の人生のほんの一部だとしても。

与党の不祥事を野党が暴き、ゴタゴタするのが政治。ここ10年くらいマトモに社会が政治家の政策によって前進している印象はなく、スキャンダルばかりが記憶に残る。
民進党とか懐かしい。そんな時期もあった。でも小池さんの発言問題とか、自分は当時意識もしていなかったと思う。こうやって立憲民主党できたのかとか、もうそのレベル。情けないね。小川さんに質問してる有権者の人は情勢を追った上で疑問がぶつけられてるんだな、と蚊帳の外のような気分で思った。そうだよね、これがあるべき姿。有権者がきちんと政治家に話をする。この人に国会に行ってほしいと願う。これが政治なはずなんだと思うと涙が止まらなかった。

選挙ってお金や取り巻く地域の人の努力も必要で、お弁当とかペットボトルのお茶とか、紙ベースのお知らせ、挨拶周り。令和になってもやり方って変わってない。特に小川さんは香川がフィールドだけど、自分も田舎の選挙を見てきたから、このやり方が前からアナログに見えて仕方なかった。でも投票に行く有権者の高齢化という背景、これは初期から小川さんが懸念していた少子高齢化が顕著な一つのしるしだし、若者有権者の意識が少しずつSNSの発達によって上がってるとはいえ、自分の周りでも「選挙行ったことない」という人は正直けっこういる。
汗水垂らして商店街や駅で挨拶するやり方が今の若者にどれだけ届くのか。もちろんこのやり方を排除すべきとは思わない、投票する多くが高齢化している社会だから。でも今後の未来を担う若者が、こういう今の政治家とは違う、信念を持った政治家の存在に気づくためにはもっと違うやり方も間違いなく必要。
誰がどんな信念を持っているのか、何をしてこの社会を変えようとしているのか。それがわからない限り私たちは投票ができない。あまりにも多い立候補者、みんな同じに見えてしまう。
「王子」として国会中継がバズったみたいに、バズるということはSNSを使う世代にこの人の存在はある程度届くはずなの。その点、このドキュメンタリーも一つ大きな役割を果たしているのだけれど。

あと自民党がプロ、ていうのがすごいしっくり来てな〜。結局、長期であるには理由もある。オペレーションは上手い。野党がトップ取っても、すぐに国を運営するノウハウがないという難点。
ただもう、もう疲れたでしょう。有権者である自分にも、信じる人を見極める知見と材料とが欲しい。
あさ

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