HarryT

なぜ君は総理大臣になれないのかのHarryTのレビュー・感想・評価

4.3
対立候補の平井さんも、3世議員です。日本では、国会議員は、世襲制と言ってもいいくらい。なぜ、こんなことになったかということを考えてみました。
政治家という職業が魅力がないんでしょうね。
国の方向を決めるというのですが、そのビジョンの違いに、明確な差がない。与党と、アンチしかない。互いにミスをあげつらい、責任を取れという。ミスも、国を誤ったということではなく、不倫をしただの、セクハラをしただのという、週刊誌メディアの部数稼ぎばかり。
結局、アメリカの戦略の中で、お気に召すようにしていればいい。肝心のアメリカがトランプになろうと、オバマになろうと関係ない。両方とうまくやれて、いやあ、おっしゃる通りという総理大臣って国のリーダーとしてどうなんだろう。言われることを待っている。他の国は、国をどうするかを、もっと真剣に議論している。
この主人公も、国を愛しているとアピールするが、そんなことは、相手も同じことを言う。それより、この国をどうしたいのかを、聞きたい。党内でどんな地位になろうと、選挙で娘が協力してくれるかなどということに時間を割かず、どんなビジョンなのかを大きく語ってほしい。大きな政府で、国民を守るのか、小さな政府で、各自の自由を守るのか、答えは自明ではないことが山ほどある。
聞きたいと思う議論がない。
国際連合の常任安全理事国に立候補したときに、アフリカの人が不思議そうに、日本には、アメリカと違う意見があるのかと言っていた。ないのなら、なんでなりたいのか、アメリカに任せればいいじゃないか、という言葉に政治家は、誰が答えられるのだろうか。
これほど選択肢の少ない職を若い人たちが争ってでも着きたいとは思わない。だから、親の地位を譲ってもらって安穏と暮らしたい人たちしか立候補しない。
この主人公は、なんやかや言って、長年、議員の地位を守ってきた。その地位を脅かす若い人が、誰一人出てこなかったことが、彼自身を含めた政治の責任と思う。
とても悲しい。
真面目にやっているかをアピールするのではなく、どこを目指すのかが議論しなければ、小川さんも老害となる。
そんなことを、ちゃんと考えさせてくれるという意味で、いい映画。
HarryT

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