電気羊

青い真珠の電気羊のレビュー・感想・評価

青い真珠(1951年製作の映画)
4.0
「ゴジラ」で有名な本多猪四郎監督の初劇場作品。面白かった!
縁あってロケ地もゴジラと同じ場所が使用されているのが嬉しい。

舞台は、昭和初期の海女により生計が成り立っている漁村。そのため、村では圧倒的に女性上位であり、女児が出産されると村を挙げて祝福され、男児だと長男以外は山に捨てられていたという古い因習を持っていた。
ゆえに作中でも主人公である海女の野枝が、好きになった男をの名字=西田を呼び捨てにしたり、「オラが野上を守る!」とか非常に野性的に描かれている。

その漁村に、灯台監理人兼学校教師の西田が赴任してくる。主人公の若き海女である野枝は、その美しさから西田に惚れられ両想いとなる。
だが、村にはよそ者と恋愛すると岬が沈むと言う言い伝えもあり、野枝の家族は西田との交際を反対する。
それに加え、野枝に敵対心をもつ海女のリウは野枝への嫌がらせのために西田と付き合っているとか西田の子を身ごもったとか嘘の風評を流す。
西田は、リウのことをしょうがない奴だなと噂を無視するが、そこは女社会で成り立っている海女である野枝はリウに対して憎しみを燃やす。

漁に出た日、リウに宣戦布告を決めた野枝はリウが潜水している後を付ける。リウは海底で真珠を持つ巨大なアコヤ貝を見つけ手を伸ばすが、誤って岩に挟まれてしまう。
リウ憎しの野枝は、さすがに見殺しには出来ずリウを助けようとするが自分の呼吸が続かず海面へ浮上する。
限界まで呼吸を止めていた野枝は意識を失い、その後リウが溺死したことを知る。
野枝は、リウを救えなかったことの罪悪感に囚われるが、西田は野枝を心配し、村を離れ一緒に北海道へ行こうとプロポーズされる。

野枝がいなくなれば、漁村の利益も減り、自分を育ててくれた叔母夫婦ににも迷惑をかけるのではないかと村を離れるか迷う。
迷いながら海岸を歩いていると、ふと海からリウの「野枝、助けて」という幻聴に誘われ海へと身を投じていくのだが。

原作「海の廃園」では野枝はリウを見殺しにするのではなく溺死させるとかで、さらにラディカル。
「ゴジラ」は核兵器の恐ろしさを、今作は人間の業の深さを描いた名作でした。
あと野枝の弟役が当時15歳の毒蝮三太夫ってのには気付かんかったな。
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