FREDDY

君は永遠にそいつらより若いのFREDDYのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

津村記久子による同名小説を吉野竜平監督が佐久間由衣、奈緒の共演で映画化した本作は、大学卒業を間近に控え、地元・和歌山で児童福祉司の内定が決まり就職するまでの間を大学とバイトと下宿を行き来しぼんやりと過ごしていたとある日に、自身が卒業論文用にお願いしていたアンケートと交換条件に大学の友人・岡野あかりから翌日の1限目に行われる西洋哲学史の授業のノートを取るよう頼まれるも寝坊で授業に間に合わず困惑していたところ発生したある"騒動"を機に知り合い、ノートのコピーまでも取らせてくれた同じ大学に通う哲学科3年の猪乃木楠子と不思議な友好関係を築いていた社会学科4年の堀貝佐世が、サークルの飲み会で出会った、育児放棄を受けていた8歳の少年の身を案じ自宅に住まわせていたことで"誘拐犯"として警察沙汰となってしまった文学科4年の穂峰直の"死"と対峙したことをきっかけに露わとなった、ぼんやりと過ごしていた日常の裏に潜んでいた残酷な現実と直面していく様が描かれた作品となっているのだが、個人的には観る価値は大いにありましたね。"育児放棄"というものを扱った内容となっているので当然考えさせられるものがありましたし、堀貝佐世がぼんやりと過ごしていた日々の中に潜んでいた様々な闇を映し出したものとなっているので、自身を取り巻く日常に未だ気づけていない闇が存在するという現実を突きつけられたと同時にそれぞれに抱えた過去や悩みなど各々に異なることや、"死"に対する考え方も人それぞれであることなど改めて気づかされましたね。堀貝と猪乃木の2人が築いた独特な関係性もまた互いに痛みをさらけ出せる仲であり、心の拠り所としていたことで"出会い"というものにも目を向けさせられた。そして佐久間由衣と奈緒の演技もとても良くて彼女たちの魅力にも改めて気づかされましたし、劇中の台詞を引用するならば育児放棄のみならず様々な問題を取り上げたことで"とっ散らかった"印象を受けるものではあるが観て損のない一作では。
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