ツクヨミ

水を抱く女のツクヨミのレビュー・感想・評価

水を抱く女(2020年製作の映画)
4.5
"愛する男に裏切られた時、その男を殺し水に帰らなければならない"
都市開発研究施設でガイドの仕事をしているウンディーネは、ある日カフェで恋人のヨハネスに裏切られるがまた新たな出会いが訪れる…
"ウンディーネ"伝説を元にしたファンタジックラブストーリー。今作はバッハの旋律と展開が合わさった哀愁と、水を巧みに使い表現された映像が融合しなんとも言えない世界を作り出していました。また水が映っていないのにコポコポと水の音がする演出も面白い。
そして今作は芸術的とも言える美しいカットが多かったと感じました。カップルの出会いの場で水槽が割れ水がかかってびしょ濡れになったり、抱き合いながら歩くのを後ろから映しつつ女性の視線を合わせたり、水に飛び込んだ次のカットは水と下がっていく泡だけ映していたり、とても絵になる場面が光っていますね。
話の展開的には3角関係に悩む女性を軸にしたラブストーリーとなっていますが、ウンディーネの伝説をうまく物語に取り入れて予想がつかないストーリーで少しハラハラさせて貰えました。主人公ウンディーネを演じたパウラベーアの恋に悩みつつ生きる姿も素晴らしい。
全体的に哀愁が常にある悲しいラブストーリーですが、美しい描写が多く素晴らしかったです。
ツクヨミ

ツクヨミ