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セイント・フランシスのnamのネタバレレビュー・内容・結末

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

心に刺さる一瞬や台詞で
涙が一筋流れてしまった。

ブリジットがとにかく魅力的だった。
脚本担当で主演って、自分の気持ちが入りすぎてあんまり良くないのかと思ってたけど、そこは監督がきちんと仕切ったのか、やはりこの俳優さんがいいのか、いづれにしろめちゃくちゃ良かった。

デフォルメされた世間の"34歳"ではなく
独身30代って見た目も可愛いし服装だってラフで活動的。20代と間違われて"20代なんだから、先が長いじゃん"なんてよく言われちゃう。
それで30代ですって言ったら勝手に腫れ物扱い。なんだそれ。

結婚出来ない奴、
自分の子はいいよ、
年齢に見合った生活

なんて

知ってるよ。知った上で選ぶのだ。

ステータスを気にしすぎてがんじがらめの人ほど、選ばない不幸せを幸せだと振りかざす。

今は結婚しない
まだやりたいことをやりたい
つまらない仕事より
心躍る仕事って選ぶことが悪いことだろうか


中絶するまでの葛藤を描いた作品って色々あるけど、それが10代だったり20代の
大事件と違ってどこか冷静で
映画の前半に葛藤をあまり見せず中絶したブリジットに、飽きるほど付き添うジェイスという年下男に泣ける。
すげー良い奴だし、おバカだし、でも男がなんも出来んの知ってる。
ブリジットも好意がないわけじゃないけど
10代20代の劇的な大恋愛でもないし
生涯共にするなんて覚悟してたわけじゃないし
なんなら、タイプじゃないし。くらい。
ここまで真摯に寄り添う男に
おどけた感じで
「あんたはわざと食中毒なって」って
女性のいろんな、ほんとにいろんな感情を言葉にした一瞬だった。
苦しい。

そんでなんかナチュラルに女性蔑視しちゃうクソみたいな雰囲気ダンディ男に一目惚れしちゃうし。寂しさが勝つなんて、なんてこと。


そう、それで子供は産まないと決めたブリジットだけど
フランシスという偉大な子供に出逢う。

"気が合う"に血の繋がりも年齢も関係ない。
ブリジットとフランシスは心の友だ。
そう思うと泣けて泣けてきた。

それでいて、やっぱり子供はすごい。
大人の言いつけを守り
嫌味なおばさんにきちんと自己紹介する。
それだけが、すごく大事なことだったりする。

親友だから、と全部全部ぶちまけるのではなく
フランシスが生理きたら、またその時に寄り添おうと。
素敵な映画だった。

自分が幼少期観たら、わけわからんかったのかな?どうだろう。
でも一部の人でも、「救われる」映画が映画である。
男性が監督ってのもいい。
わからん!って投げ出さず観てほしい。
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