kma

セイント・フランシスのkmaのネタバレレビュー・内容・結末

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

自分の人生や経験と重なり刺さりすぎた。
まず一つは中絶。中絶自体は心にトゲが刺さった程度で「今産んでも子供も自分も幸せにはなれない」と確信を持っていたから躊躇なくその選択ができた。だからこの映画では、中絶という行為を必要以上に悲劇的に描かないところに共感した。エコーで動いている心臓を見たら涙が出てきたけど、それで選択が変わることもなかったし今はほとんど思い出すこともない。でも中絶を経験したという記憶は消えることはない。
ブリジットも機械的に冷静に中絶を選択していて悲劇だと捉えていない。でも自分ばかり身体の負担を背負っているという憤りもあって、相手に当たってしまうのもよくわかった。相手の男性は、少し上の年代によくいるようなクズ男でもなくて自分の感情と向き合えるミレニアム世代だから中絶の後処理にも付き合うしその後逃げたりしない。なんだかそこもリアルだった。

もう一つは産後うつ。赤ん坊の泣き声に耳を塞いでしまってどうしようもできない。マヤは、自分は悪い母親で子供のためにいなくなった方がいいとまで思ってしまう。マヤはベビーシッターを利用していて完全なワンオペではないけどこうなってる。

この映画は説教臭くない。映画でありがちな、大人にとって解しやすい子供も出てこないし、フランシスも適度に生意気で適度に可愛い。レズビアンのカップルだけど理解し合えない描写もあって、女同士だから家庭が上手くいくわけじゃないよなと改めて気付かされた。
ブリジットの人生が劇的に変わるわけではないのも良かった。
めちゃくちゃ好きな映画!
kma

kma