せりな

グリード ファストファッション帝国の真実のせりなのレビュー・感想・評価

3.0
TOPSHOPの親会社のアルカディアグループのオーナーをモデルにした作品。
フィクションを織り交ぜつつ、アパレル業界のリアルに描いているんだろうな。
スティーブ・クーガン演じるリチャードの嫌なヤツっぷりが凄かったけど、拝金主義の成れの果てなのかな。
低賃金で人を雇える開発途上国で製造を行うビジネスモデルは昔からあったし知ってはいたけど、その国の標準的な賃金を採用している訳ではないんだね。
安く売るために、スピードを要求したり買い叩いたりする搾取構造の上で成立している価格。
それでう莫大な売り上げを手に入れても、労働者には1円も還元されないし開発途上国に何の恩恵も生まれていない。
ウイグル綿を使用している企業を避ける程度なら、できなくはないけどグローバル企業のアパレルで途上国で製造していない企業なんて殆どないよね。
従事者のほとんどは女性で、アパレル企業の代表や世界の資産家の多くは男性という非対称性など、はっきりと数字で表されると嫌になるな。

映画の中で労働者の待遇について追及された時にリチャードが、俺が雇っているわけではない工場に製造を頼んでいるだけで自分は悪くないと主張していて、間接的に搾取することで自己正当化しているのかなと感じた。
こういう弱者に対して他人事でいようとする心理が、今の社会に広がっているのかもと感じた。
オリンピックを開催しようとしている人たちも同じ考えなのではと思う。
感染して死ぬ人がいるかもしれないのに、無関心でいられるのって根底は同じだよね。
この映画が作られた時にコロナはなかったけど、このタイミングで見たので人間の醜悪さをより感じてしまった気がする。

本人役でチラッと出ている人たちが豪華なので、そこは見てて面白かった!
最後はさすがにギョッとしたけどあそこは創作だったのでホッとした。
せりな

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