クリーム

DAU. 退行のクリームのレビュー・感想・評価

DAU. 退行(2020年製作の映画)
4.0
6時間9分、やっとチャレンジした。もっと短く出来ると思うのだが…。第1弾『ナターシャ』を観てからずっと気になってました。長いので、第1弾『ナターシャ』が面白いと思ったら観る映画だと思う。旧ソ連の体制下に入り込む没入感。やはり恐怖でした。
ソビエト連邦の秘密研究所で、科学者達が超人を作ると言う実験を行なっていた。そこでは、全体主義社会の理想が崩れはじめ、西欧文化が流入し、かつて厳しく管理されていた人々の風紀は乱れていた。上層部は研究所の腐敗を正すために、KGBのウラジーミル・アジッポ(前作ではKGBの捜査員だった)を所長として送り込むのだった。





ネタバレ↓




60年代後半の話。2時間程、ダルく眠い時間が続きます。そこにいる者達の腐敗っぶりを描いていて、その腐敗を止める為にやって来たアジッポが所長になってから目まぐるしく展開します。
確かにかなりやりたい放題で、実験中もウォッカを煽り、ストリップドミノなる負けたら脱いで行くお下品な遊びをして飲み会三昧。当然、お咎めがあり、学問を続けたい若者達は研究所を去り、代わりにKGBから特別実験の被験者達がやってくる。研究内容も見直し「完璧な人間を作り出す」という「超人計画」の実現を目指します。そのために、新生児の脳の一部に電極を当て感情的な反応を無くし、他人を気にせず、利己的にする実験が行われる。これが中々、非道でヘドが出る映像。大人も同様にすれば、兵士としては好都合と考え、この実験の被験者がKGBから送られたスポーツ万能、脳筋な若者達だった。彼等は、電極を当てられ、見事に利己的で残虐な人間になりアジッポの手先となります。
後半は、この若者達の狂気的な行動に支配されて行く。影で糸を引きアジッポが後押ししているので、彼等はどんどん過激になります。女性だろうが年寄りだろうが関係なく締め付けます。飲酒や堕落した生活改善と言う名目が権力や力を振りかざし楽しんでいる様にしか見えなかった。豚を生きたまま殺すシーンは、最悪で目を覆いたくなった。本当にこれでもかと不快映像満載。しかも旧ソ連で起きていたであろう感じがリアルで恐怖を伴う。
ラストは、驚愕だった。上から通達があり、この研究所はやっぱり閉鎖が決定したので、住民達を皆殺しにしろと…。そこからは、あっという間に全員殺して終了。唖然だった…。長時間の視聴で頭がバグって、暫く方針状態になりました。壮大なスケールで恐ろしいソ連の目撃者になった気分。リアリティが凄くて本当に恐ろしい。あんな感じの戦士達、良く映画で観るもん。でももう少し短くして欲しい。ホント疲れたわ。

※アジッポが語った拷問が聞いた事のないモノで背筋が寒くなった。『拷問は、違法だが密かに推奨されていた。歯のエナメル質をヤスリで削ると恐ろしく痛く、叫ぶ。懲罰として良く使われた。』と…。この人本当に元KGB。怖すぎる。

※秘密研究所を建設し当時のソビエト連邦を再現。キャストとエキストラをその中で実際に何年か生活させ、暮らしや考え方まで徹底的に当時のソ連に染め上げた上で、複数の映画をそこから作り出して行くという、史上最も狂った映画撮影と呼ばれたプロジェクト「DAU」。本作はその第2弾。
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