TenKasS

最後にして最初の人類のTenKasSのレビュー・感想・評価

最後にして最初の人類(2020年製作の映画)
-
20億年後の「第18期人類」が「第1期人類」である観客の過去にアクセスし、憑依して発話によるメッセージを送り、受け取った側はそのメッセージが、あたかも本当であるように振る舞うということで、過去から未来を変え、結果として未来人を助けることになる。という原作序文の部分を映画館にいる観客を対象にして行うという4次元的な試みだと解釈すると(してしまえば)悪く言えばただの啓蒙的なインスタレーションで、よく言えば映画館という仕組みを最小限の素材でうまく利用した映画だということになると思う。
だったらVRで作れば尚いいのではないかとも思うが、恐らく見せるのではなくて、想像させることに重点をおいている(なんせ20億年)。その部分においては、ティルダ・スウィントンのボイスオーバー、ヨハン・ヨハンソンの音楽、旧ユーゴの戦争記念碑を16㎜でという選択は何一つ間違ってないと思うし、映画館における観客と作品との関係を念頭においている時点でこういう映画化もありだし、かなり成功しているのでは?と思った。
TenKasS

TenKasS