かぴばる

ペルシャン・レッスン 戦場の教室のかぴばるのレビュー・感想・評価

4.7
 第二次世界大戦下、ナチス・ドイツに捕らえられたユダヤ人の主人公は、偶然持っていたペルシャ語の本を理由に自身をペルシャ人であると偽り、即座の処刑を逃れる。言語を学ぶためにペルシャ人を探していた大尉に授業をしながら、嘘を見抜かれないために次々と仮想のペルシャ語をでっち上げていく主人公だったが……という話。

 いつバレるかわからない嘘が、物語の隅々にまでスリルを行き渡らせる。大尉がひとり、単語カードで自習しているだけのシーンでも胃をつねられるような緊張感がある。まさに映画ならではの静のスリルに満ちた傑作。

 ただスリリングなだけでなく、ふたりの間に芽生える奇妙な信頼関係(一方通行かもしれないが)や、自分だけが助かっていることによる主人公の同胞に対する葛藤など、ひりつくような痛みで鞭打ってくれる。

 ラストシーンも本当に良い。本当に良い。