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ペルシャン・レッスン 戦場の教室の犬のレビュー・感想・評価

3.0
需要と供給の利害関係から即興で創作した架空言語で欺いて偽りのペルシャ語を成立させるっていう一見するとチョコプラがコントでやっていそうな設定はシリアスとユーモアが表裏一体とされ一瞬も気が抜けない命懸けの語学教室として始業される。コッホ大尉の勉強熱心な一面に助長して沈黙を煽る秒針の音が緊迫感を高めつつ、リマ症候群のような奇妙な関係性から特別な対応を受けることが絶望にも希望にも転がる運命であり、生かされながらも生きた心地のしないジルの疲労困憊とした表情が笑えないようで笑える。自分が生きる為に必要な単語収集として暗記した囚人たちの名前を暗誦することになるラストは生存者の使命として虐殺されたユダヤ人の存在を一人でも多く後世に伝えることが出来た感動的なものだが、彼らの名前を拝借して生き延びたジル本人にとっては複雑な心境であり悲哀な皮肉なのかもしれない。
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