ただひたすらに動物の息遣いを撮り続けた怪作。あまりに映像がパワフルで、映画としての技巧が徹底的に隠れている。それがこの映画の技なのが面白い。
ラスト、人間の介入によって豚の生活が崩壊する。いや、そもそも人によって作られた世界だったわけで、それまで豚たちのみの世界だと錯覚しているのは実は観客だけなのである。もちろんそのことに豚たちもわかっているはずだ。
子豚たちが失われ、調和が乱れてしまったかのようにも思えるが、だんだんと母豚が状況に適応していっているようにもみえてしまった。これはこれで、まるで子豚の不在が自然の中に組み込まれているかのようである。
何が自然なのかだんだんとわからなくなってくる。そういった意味で怪作だ。