たむランボー怒りの脱出

みんなのヴァカンスのたむランボー怒りの脱出のレビュー・感想・評価

みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)
4.0
ここでもまたモテない男が醜態をさらしていく。チャラい男を殴りにかかる場面は『女っ気なし』に続いてこの最新作でもやっぱりある。『女っ気なし』の場合は嫉妬がきっかけだったが今回は友人が嫉妬を代弁してその義憤でもって殴る。
ヴァカンスとカラオケというところでいうと観光地でのカラオケ垂れ流し場面は山本英『小さな声で囁いて』を思い出した。
「性愛とか恋愛じゃない無私の関係もある」と立派そうなことを言ったその次の場面で女性に期待を裏切られ即不機嫌になる『おおかみこどもの雨と雪』のTシャツを着た黒人青年がトボトボとテントに入っていく姿が何ともいえず悲しい。
『女っ気なし』もそうだが結局はセックスして報われて終わり、というところがもはや潔いというか、セックスしてその先というのではなく、セックスまで至ったかどうかの決着がつけば映画が終わる、というところはギヨーム・ブラックの非モテ映画両作に共通している。舞台挨拶でエドゥアール役の俳優が16歳のときに鈴木清順の『けんかえれじい』を見たと言ったとき会場が微笑ましくなったのが何となく分かった。