あしからず

リトル・ガールのあしからずのレビュー・感想・評価

リトル・ガール(2020年製作の映画)
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至る所で多様性という言葉がアピールされながら未だにこんな小さな女の子が他者からの拒絶に涙しなければならない世界。本来グラデーションな性別を無理矢理記号化して社会的役割に押し込めて、そこからはみ出たものを勝手に異物と呼ぶ恐ろしさ。加えて自分も理解して受け入れた気になって、実は性別違和の事全くよく分かってなかったと気付いて愕然。本作で様々な事を教えられた。特にパンフに書かれていた性別の流動性を保証する事の大切さ。
そんな性別を超えて生き物として最大級にかわいいサシャ。学校やバレエ教室の不理解に苦しむサシャを守る家族は奇跡のように美しい(父親が元軍人と知って驚き)。
本作の公開による全世界へのカミングアウト(勿論同意の上なのは承知で)が引き起こす事や、ドキュメンタリーが必ず内包するフィクション性など気にかかる部分はあるけれど、サシャとその家族の姿は必ず誰かの希望になるだろな。
蝶の羽をつけ陽の下で自分の好きな服を着て踊るサシャが瞼の上に何度も蘇ってくる。

青い服を全部捨てたサシャが自分を受け入れてもらった事でまた青を着るようになったと知って、色んな想いで胸が締め付けられた。でも性別の呪いが一部でも解けてよかった
あしからず

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