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リトル・ガールのWNTのレビュー・感想・評価

リトル・ガール(2020年製作の映画)
4.0
身体は男の子、心は女の子のサシャは好きな洋服を着て女の子として生きることができない苦しい日々を送っている。
幼い頃から女の子になりたいのにスカートやワンピースを着ているとおかしな目で見られたり、学校には男の子の服装で通ったり、バレエ教室の先生には冷たく追い出される。
自分らしく生きたいのに周りは簡単に認めてくれない。
迷惑をかけているわけでも、巻き込んでいるわけでもないのに変わった目で見られて学校でも普通に過ごすことは難しい。

サシャと家族を映したドキュメンタリー映画やけど、正統派の撮り方と洗練された心に寄り添う映画として仕上がっている。
短時間ながらもまるで側で彼女たちを見守るようなクオリティの高さとメッセージ性に心を奪われる。

サシャの母親は彼女の親としてよき理解者として幸せに生きてもらうために自分らしさを尊重し、いつも味方でいる姿が素晴らしい。

生まれた性別が心と違うだけなのに、ここまで自分らしく生きることが難しいとは想像を超えていた。
まだ幼い子どものサシャと将来どうしていきたいかを具体的に話し合い、少しでも環境を変えようとする大人の姿勢も勉強になる。

受け入れてくれない理解を示さない人たちの方が大半で、心から分かってもらいたいわけではなくサシャのような子どももいるということを知ってほしい、あわよくば認めてもらえたら嬉しいという気持ちを伝えることがどれほどハードルが高いかを痛いほど知る。

どれだけ学校で嫌なことがあっても強く生きて思いが溢れ出してしまったときは大粒の涙をこぼすサシャを見て考えさせられることはたくさんある。
知るだけでまだ知らない出会うかもしれない世界に対して少し優しくなれる。
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