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リトル・ガールのNnのネタバレレビュー・内容・結末

リトル・ガール(2020年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

 男の子として生まれたけど女の子として生きたい7歳のサシャは、保守的な学校からそれとなく転校を促されており、バレエ教室でもポツンとしている。母親は、サシャが学校に居続けられるよう専門家の意見を求めて彼女を遠方にいる専門医まで連れていく。

 サシャ本人が性別違和により孤立する姿には勿論胸が痛むけど、サシャを想って自分のことのように頭を抱える母の方に感情移入してしまいました。自分が親だったらどれくらい気丈に支えてあげられるのかなとしんみり考えたり。

 「誰も傷つけていないのに、どうしてなの?」という母の問いはきっとどのマイノリティに属する子どもを持つ親が日々投げかけている疑問で、これまでメインストリームの考えにかき消されてきた声のはず。女の子の洋服を着てはしゃぐサシャを見守る家族の目は暖かく、こんなに無害な子を追いやってまで守るべきものが果たしてあるのか。

 もしかすると自分が女の子としてのアイデンティティを押し付けてしまったのかと疑る母に対して、それは違う、あなたは何も間違ってない、親として正しいことをしている、と断言する専門医の言葉は至極当たり前なのだけど、当事者にとっては何度も何度も確認が必要な事実なのかもしれません。

 最終的にはサシャを受け入れることにした学校側の意思決定にはきっと色んな大人の介入があり、白人で、二次性徴を抑える治療まで検討されているサシャはかなり恵まれているケースだけど、同じ状況に悩む子どもに希望を与える例な筈で、それならこういうドキュメンタリーは何本でも撮られるべきだなと思いました。

 受け入れ反対側の意見が映されてなかったので、そこがあればもう少し深掘りして考えられたかなと思います。
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