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大怪獣のあとしまつのKEKEKEのレビュー・感想・評価

大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)
4.0
- カメラが一生多動なのと場面の繋がりの綺麗さ、スローモーションのバリエーションの豊富さで永遠に飽きないすごい
- 後始末を題材にした政治劇でありながら、最初から最後まで解決を他人任せにする日本人の虚無的なアイロニー、痛烈な政権批判
- 舞台は基本「死亡した怪獣が横たわる現場」と「リーダーシップの取れない首相率いる利権争いにしか興味のない大臣たち」の往復
- 官邸内部はすでに腐敗しており、イデオロギーすら持たない為政者たちによる政権は、野望と実力を持つ秘書官の手で傀儡と化している
- シンゴジラは政治のダメさを「スクラップアンドビルド」による改革で解決しようとしたが、本作はそのような希望的観測を否定し、いつか来る「デウスエクス・マキナ」を待ち続け場当たり的な対症療法を続けるだけのどん詰まりの政治をありのまま描いた
- これはデウスエクス・マキナ的な構造を持つ物語を揶揄したメタ的映画であり、その構図が現実社会のメタとしても成立している
- めちゃくちゃ美しい構成だ

- 皮肉にも首相に代わるリーダーである秘書官も私怨により駆動しており、結局選ばれしもの頼みの破滅的な作戦を実行するのも彼だ
- そしてこれは日本人が飽きるほど目にしてきた光景でもある
- ガスを溜める巨大な死体は処理水をいたずらに溜め続ける原発さながらであり、そんな原発の死骸に対して政治が場当たり的な対処を繰り返してきたことも私たち国民はしっかりと記憶している
- 日本中の頭脳が集まり、毎日喧喧諤諤の議論をして、莫大な資本を費やしたとしても、おおきな生ゴミひとつお片付けできないのが日本の政治だ
- それが政治の現実であり民主主義の限界である
- 映画の出来不出来は別として私はシンゴジラよりこちらがREALだと感じる
- もはや誰が悪いとかでもないのかもしれない
- 私たちはただ、いつか現れるかもしれない救世主を待ち続けうんことゲロの中間の臭いの屁を嗅ぎ続けなければならない宿命にあるんだろう

- 映画は面白かったんだけどギャグが正直あんまりハマらず(例えの大臣は好きだった)、でも西田敏行はさすがコメディの天才だなとおもった(口笛が掠れるところからもう神がかってる)
- 土屋太鳳は相も変わらずほんとに......ほんとに......なんで......こんなに......へ......へたく......まあいいや
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