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望みのanzuのレビュー・感想・評価

望み(2020年製作の映画)
4.0
どっちに転んでも鬱展開。
息子は被害者か、加害者か。

建築士の父、家事と仕事を両立する母、勉学優秀な妹、サッカーで膝を壊してやさぐれ中の兄が登場人物。
モデルルームのような家、理想的な家族、均衡が破れられていく序盤。
やさぐれ息子が幸せな家族の影を作る。

息子の友人が殺され、息子と他2名が行方不明となり、3人のうち1人は殺されているという状況になる。
果たして息子は、加害者少年Aなのか、殺された被害者なのか。

生きていて欲しいと願う母は、息子が加害者であって欲しいと願う。
誰かに危害を加えるような息子ではないと信じる父は被害者であると願う。
未熟な妹(中3)は、殺人者の妹にはなりたくないと願う。

いやぁ、重いですね。

自分が母親なので、どんな形であれ生きていて欲しいと願う母親に感情移入してしまった。生きていてさえくれれば、それだけでいい。死んでいて欲しくない。会いたい。ただそれだけ。

父親の立場、妹の立場は違う。そのすれ違う様がもどかしくて、モヤモヤして、逆に映像は反比例するような美しくなり、引き込まれました。

ラストも安易な結末ではなく、そこも良かったです。

エンドロール観てたら、堤幸彦監督作品でした。大好きな監督作品でした。
原作も読んでみたくなりました。

2021年鑑賞 83本目
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