さー

望みのさーのレビュー・感想・評価

望み(2020年製作の映画)
3.9
ずっと息苦しく、感情がキャパオーバーになって涙としてあふれてしまった…

行方不明の息子が、殺人事件の加害者か被害者のどちらかだと知らされる…という、どっちを向いても絶望!という状況で、それぞれの「望み」を抱く家族の話。

石田ゆり子演じる母親は、加害者でもいいからとにかく息子に生きて帰ってきてほしいという望みを抱き、堤真一演じる父親は、自分の息子は絶対に人を殺したりしないという望みを抱く…原作を読んだときは母親ばかりに感情移入したけど、映画見るとね…石田ゆり子が言うように「気持ちがぐちゃぐちゃ」ですよ。母親と父親が、それぞれの望みを抱いて腹を括る様子は、観客の心を引き裂くように突き抜けていく。石田ゆり子の肝の据わった眼差し、そして堤真一の慟哭。清原果耶のどうしようもない本音を含めて、3人まとめてアカデミー賞級の演技。すごすぎる。

「親の心、子知らず」の話かと思いきや、「子の心、親知らず」の話だった。家族といっても、個人の集まりにすぎないし、互いを理解し合うことは難しいけれど、「家族だから」というただそれだけの理由で「望み」を抱くことができる…自分の身に置き換えて、家族について改めて考えさせられました。
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