あまりに現代アメリカが現代アメリカな戯画。あまりイキってても鼻についていた国だが、かつての威勢の良さがないならないで切なさを感じてしまうのだとラストで実感。しかしアメリカの問題という閉じたかたちでおさまらず、政治と経済という自らが生み出してきたシステムに飲み込まれて堕ちる人間の弱さ、また科学という弱き人間の生み出した学問分野の、扱う人間の弱さゆえのもろさは普遍的な問題として提示される。
科学技術や人間の良心に希望を託し、理想的に描いてきたディザスターものの映画があり、そのパロディとして今作のようなものがありつつ、この映画はそのパロディであり、コメディでありながら、もはや現実がそうしたパロディのような状況になっていることを再確認させる。笑えるような笑えない現実を、笑えるものとしてリアルに描く、映画と現実が複雑な関係になっているように感じた。