yusukeさんの映画レビュー・感想・評価

yusuke

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偶然と想像(2021年製作の映画)

4.0

とにかく言葉が多く、それ故にそれを発する俳優に目がいく。演技演技していない、ともすれば淡々としすぎて棒読みっぽくもあるような音としての言葉は、それでも画面に映る映像と絶妙に有機的に繋がっている感じがし>>続きを読む

モスラ(1961年製作の映画)

2.5

横長の画面に映えるモスラの巨大感やフランキー堺の軽妙さ。音楽にも気合入れてる感じだった。
少年科学雑誌みたいな劇的な画が多かった。現代の精緻な取材や精巧でリッチなCGに支えられたSFと比べると、単に造
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

3.5

あまりに現代アメリカが現代アメリカな戯画。あまりイキってても鼻についていた国だが、かつての威勢の良さがないならないで切なさを感じてしまうのだとラストで実感。しかしアメリカの問題という閉じたかたちでおさ>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.5

ロンドンの土地と文化に対するリスペクトと批評性を持って、めちゃくちゃカッコいいホラーを取り切ったっていう感じ。CGに頼りすぎないよう超計算された、鏡を使った人物の複雑な動き、フレームへのインアウトやカ>>続きを読む

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

4.0

ニュースタンダードというか、これまでフェミニズム的とされていたような部分やダークヒーローだとか評されていたようなことなどはもう前提として、さらにその先のところでおもしろさが練られていて、シンプルに面白>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.5

映画内演劇の演出同様、コミュニケーションに徹底的に向き合わせられる俳優陣の、緊張感をはらんだアクションが映像としておさめられると同時に、見る側もまた画面に対して言語や動作、またそれを超えた意味を見出そ>>続きを読む

スパイナル・タップ(1984年製作の映画)

3.5

ミュージシャン、とくに商業的なロックバンドのドキュメンタリーというと、撮る側と撮られる側の利害が一致するというか、他のドキュメンタリーよりもより共犯関係が深いものとなるが、それすらも模倣してしまってい>>続きを読む

マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

3.5

映像表現の革新性をはじめとした、映画という芸術でもあり商品でもあるシリーズの社会的な影響。それに向き合い自嘲混じりに、ユーモアを交えて自己言及する作品の姿勢は、映画というメディアが、そして映画産業が、>>続きを読む

イタリア旅行(1953年製作の映画)

4.0

イタリア旅行というタイトルながら、まったく旅行感のないまま夫婦のすれ違いを見ていくが、その一人が能動的に世界へ意識を向け出した火山のシークエンスぐらいからか、映画を見ている目線がその舞台であるイタリア>>続きを読む

ある夏の記録(1961年製作の映画)

3.0

モンドセレクション金賞受賞的なオープニングから、自画自賛で強制的にオチつけるエンディングまで、自信があるのかないのか分からないめちゃくちゃさがおもしろい。探り探りで、出来上がった映画なのにその試行錯誤>>続きを読む

GUNDA/グンダ(2020年製作の映画)

3.0

否が応でも能動的な見方をさせられるという感じに切り取られ、編集された動物たちの姿。弱めから強めまで多用されるスローなど、むしろ意味を汲み取ることを強要されている感じもして、家畜という人間のために消費さ>>続きを読む

ビリディアナ(1960年製作の映画)

3.5

今っぽいテンポとカット。特にラストシーンは音楽もカメラの動きもめちゃくちゃいけてる感じがした。
縄跳び、綱、ひも、犬、死や灰など連想ゲーム的にモチーフが繋がっていく。
ブルジョワジーの世界や聖なるもの
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セールスマン(1969年製作の映画)

4.0

被写体を色々と泳がせつつ、その中で撮影や編集で非常にドラマティックに演出している感じがした。ギャング映画とか警察ものみたいなエンタメ感で描くことで、現実がむしろ現実離れした誇張されたものとなり、それが>>続きを読む

グレイ・ガーデンズ(1975年製作の映画)

4.0

異常なものを見たという感じ。美醜が入り混じった常軌を逸した世界を作る二人の女性に対し、気に入られるということで接近して人間のおもしろさを映し取る。被写体の哲学や生来のサービス精神から、撮られることは織>>続きを読む

鳥の歌(1995年製作の映画)

3.5

インディオのための映画を作るという大義名分を掲げた映画製作者たちの行動が、無意識のうちに彼らが描くスペイン人の侵略の歴史にシンクロするが、それに気づかないという構成がおもしろかった。
過去と現在に共通
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ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ(2021年製作の映画)

2.5

CGによって拡張された身体は、ほとんどフルCGで描かれたクリーチャーなどと同じく、物理演算的な意味でもほとんど実際の人間の動きの制限から離れたところにあり、それが生身の人間による運動の連続性から生まれ>>続きを読む

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

4.0

世の中の薄っぺらい言説に中指を立てるような尖った意識が、みたことないようなカッコいい殺陣の本気具合などから説得力を持って感じられる。オフビートな主人公たちの日常からのシームレスなアクションへの移行が、>>続きを読む

JOINT(2020年製作の映画)

4.0

ちょっと日本映画っぽくないビジュアル、特に光の使い方や人物を写すときの画角やサイズ、色使いが洗練されている。音楽も良かった。クライム系ということもあり、韓国映画っぽさも。
手持ちで作られた感のない絵作
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フリー・ガイ(2021年製作の映画)

3.5

ご機嫌な楽しいエンタメ映画。ゲーム世界ということでふんだんに使われる拡張現実的なCG演出がハマっていて、舞台が限定されていても一つの箱の中でさまざまな見せ方がなされていた。ゲーム好きにとっては色々共感>>続きを読む

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

3.5

ブロークバックマウンテンなどを髣髴とさせる、西部劇的なアメリカのマッチョイズム信仰、マインドの解体。社会や時代が求める「男らしさ」と、それを求められる人間との間で生まれる歪みというか軋みから、いかに不>>続きを読む

ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984年製作の映画)

3.5

クラシックな雰囲気だが新しさのあるスタイル。ゴダールなどを彷彿とさせるが、単なる懐古主義や模倣でなく、独自のリズムや世界を作っている。登場人物3人の常に噛み合わない歯車のサスペンス。だるい感じが心地よ>>続きを読む

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

2.5

冒頭のスペクタクルは007という感じの豪華さでテンションが上がったが、その後のダニエル・クレイグボンドの総括的な物語が、あまり気持ちよく納得感を持って受け入れがたかった。北方領土がらみの日本的表現が洋>>続きを読む

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

3.5

圧倒的な物量で描かれるご機嫌なミュージカル。ラテン音楽をより現代アメリカ的にアップグレードさせた耳に残るナンバーと派手な映像表現が楽しい。ロミオとジュリエット的なウエストサイドストーリーと移民というテ>>続きを読む

夢のアンデス(2019年製作の映画)

4.0

現代の証言やアーカイブス映像から語られる情報と、語り手の中での祖国の象徴たるアンデス山脈を語り描き奏でる詩的で叙情的な映画表現が織り重なり、自然や土地、そこで繰り広げられる人々の営み、政治経済、歴史、>>続きを読む

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

3.5

ひとつのある出来事に対して異なる3者の視点から真実を探っていくミステリーかと思いきや、むしろそれよりも人物による物事の捉え方がいかに違うか、特に、社会的に抑圧された立場からの世界の見え方が、いかにそう>>続きを読む

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.5

お酒で失敗する映画だが、アルコール依存症の危険性を訴えることをテーマにしたようなものではなく、酒をキーアイテムとしておじさん世代特有の人生の悲喜を描いていて、最終的な、悲劇からの前向きな終わりに救われ>>続きを読む

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

3.5

キャラの渋滞やマンネリ、既視感がありそうなところを回避して、これだけヴィランが溢れる中でヴィジュアル、設定、パーソナリティを描き分け、整理して、なおかつ他のヒーロー系映画とは異なる語りを細かい部分でい>>続きを読む

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.5

娯楽バイオレンスミステリーを、優れた演技のぶっ飛んだキャラクターたちの魅力で繋いでいく感じ。ヤクザの世界や警察組織、社会や時代を描くというよりは、今回はメインのキャラクターたちをいかに輝かせるか、深め>>続きを読む

ザ・ハーダー・ゼイ・フォール 報復の荒野(2021年製作の映画)

3.5

ビデオゲームのRed Dead RedumptionやLil Nas Xのold town roadなど白人的西部劇世界の解体と再構築の流れのなかに新たに生まれたヒップな西部劇という感じで、ルックや音>>続きを読む

ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

3.5

007のようなスパイアクション映画を女性主体で描き、アクションも楽しかった。キャラクターも魅力的だった。ワインスタインを名指しで批判するぐらい露骨な悪役。女性の抑圧や性的搾取、性犯罪などを断罪するスト>>続きを読む

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

2.5

冒頭の音楽とCGの高揚感がすごかったが、そのあとがとても都合のいい綺麗事を並べている感じがして、幼稚なアニメっぽい感じがしてしまった。アニメーションの映像の快楽も少なめ?日本のアニメのトーン&マナーの>>続きを読む

MONOS 猿と呼ばれし者たち(2019年製作の映画)

4.0

南米の高原なのだろうか、非現実的に美しいロケーションと、ミカレヴィの音楽が、冒頭から何か異常ではあるもののその純粋性からどこか善悪の価値基準を超えた楽園のような世界を作り出す。しかしそれが一度人間的な>>続きを読む

ベルリン・アレクサンダープラッツ(2020年製作の映画)

4.0

原罪、改心など宗教的なテーマが色濃くベースにありつつ、その原罪を異国で暮らす難民としての出自に求め、また主人公の個人的なトラウマ(地中海を渡る上で仲間・恋人を犠牲にする)を生きることへの呪いとしている>>続きを読む

シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021年製作の映画)

3.0

神聖化された母という存在と家父長制の解体。パターナリズムによりもたらされる意思決定の不能を打ち破るアジア人男性の主人公の姿が、存在感を増すことによりヘイトを集めるアジアコミュニティの人々を肯定し、エン>>続きを読む

彼女はひとり(2018年製作の映画)

3.5

無意識、無自覚に、弱者ぶったり被害者ぶったり甘えたりすることで、その有意な立場から女性を追い込む男性に対するカウンターとして、強烈な、しかし繊細で弱さも併せ持つキャラクターの女性がオリジナリティがあっ>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.0

過去そして現在、男性社会に抑圧されてきた女性の声が悲しき亡霊が如く現れ、見終わった時なんとも悲痛な心持ちになる。
パリスヒルトンやブリトニースピアーズ、パステルカラーの小道具や衣装、プリンセスライクで
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