sukeさんの映画レビュー・感想・評価

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青春(2023年製作の映画)

4.0

大量生産のシステムの中にあり、機械的な素早さで服を仕上げる労働者たち。AI、ロボットの時代に、ともすれば「社会の歯車」みたいな人間性を剥奪した見方をしてしまいそうな立場の人々に、人間性を付与するように>>続きを読む

フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.0

映像メディアのもつ、効率的に語るという特性をあえて放棄するという映画の無駄さ、余裕を示すような作品だった。

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

時系列順に整理して並べないことによって生まれるミステリーとサスペンス。
ホイテ・ヴァン・ホイテマの映像演出のバリエーションをはじめ、編集、音響などあらゆる映画を構成する側面において、高性能自作PCみた
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

3.0

アメリカの政治・社会の諸問題を象徴するようなオピオイド危機を、1人のアーティストを通してみることで、その問題がオピオイド危機に始まったことではないという問題の根深さ、そして20世紀半ばから続くアメリカ>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.5

いくつかのカットの色彩や大胆な構図、モチーフにソールライターっぽさを感じたせいもあるが、写真的な映像センスだった。

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.5

ドロドロした夫婦の関係を明らかにしていく法廷劇。子供の登場人物の存在が、作中でも触れられていたような野次馬的な視線一辺倒になるのを防いでいる感じがして、それによって事実に関するアプローチの仕方の多様性>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.5

砂漠の広大なフィールドや巨大な機械、ブルータリズム建築みたいな建造物や巨大クリーチャーと、矮小な人物の対比が効果的に活かされた画作りが美しい。

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

4.0

タルベーラの霧。
天体の動き、音楽理論など神の定めた法則とされる美しい調和と対照的に繰り広げられる人間の営みの、その人間臭さ。
人智を超越した存在としてのクジラの目と、それが暗闇や霧の中から常に睨みを
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狼たちの午後(1975年製作の映画)

4.5

いろんな種類のサスペンスが幾度となく立ち上がってははぐらかされながら、じりじりと時間が過ぎていくが、明確な終着点を持たない蛇行運転によって様々な時代背景を盛り込みながら、見る側としてはいろんな事案を想>>続きを読む

タクシードライバー(1976年製作の映画)

4.0

どんどん溜まっていくフラストレーション。音楽や人物の行動によって、不穏さの積み重なりや暴発、躁鬱が細かく描写されているのが良かった。

コロッサル・ユース(2006年製作の映画)

3.0

映像とセリフの、詩っぽさとドキュメンタリーっぽさ。地縛霊のように記憶を語る登場人物が、その土地の歴史とさらにその向こうにある過去の記憶まで甦らせる。
遠近のギャップ、独特な画角や色合い、空を切り取らな
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断崖(1941年製作の映画)

3.0

サイコパスな人間との恋愛関係との説得力を現代的な価値観でどこまで麻痺させられるかで、ずっと見てられるかが左右される。
ケイリーグラントのヤバいやつの演技、表情がよく見るとすごいいい。至る所にあるミスリ
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アンナ・マグダレーナ・バッハの日記(1967年製作の映画)

4.0

資料の接写と語り、風景のインサートと実際の音楽家による演奏とドラマ。コンサートフィルムのようでありながら再現ドキュメンタリーでもあって、バッハやその家族の歴史を演じつつも演奏は演技というか本気というか>>続きを読む

荒野の用心棒 4K復元版(1964年製作の映画)

3.0

やたらと顔が印象的に映される。フォードとかの西部劇とは全然違った価値観で作られてる感じが興味深い。
音楽、ぱらぱらと並ぶ複数人をドリーで捉えて遠近異なる横顔が映し出されるカットなどのかっこよさが良かっ
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ゴールキーパーの不安(1971年製作の映画)

3.0

撮影すごい。こういう切り取り方をするんだという発見があるフレーミングと、その中にアクションがある時の、フレーム単位で計算されているのかというくらい流麗なワークとタイミング。それを浴びせられ続ける時間が>>続きを読む

夢二 4Kデジタル完全修復版(1991年製作の映画)

3.5

かっこよくてオシャレで攻めてる感じ。いろんな表現の見本集みたいな、ポートフォリオみたいな感じで、逆に言うと全体の印象よりも個々の場面場面が際立っていた感じ。

息の跡(2015年製作の映画)

4.5

少なくとも編集されたものにおいては、カメラを向ける人が被写体に積極的に働きかけていかないどころか、逆質問とかされちゃったりして、被写体が全方位的に働きかけようとしている感じが漏れ出てくるのがおもしろい>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.5

露悪的に散りばめられたエログロは、規範や抑圧を唾棄すべしという自由と解放讃歌のためのフリか。ストーリーだけでなく、ルックやサウンドも支配的な価値観に抗するようだが、そのグレ方はわりとコードに沿っている>>続きを読む

二重のまち/交代地のうたを編む(2019年製作の映画)

4.0

数年前に見た時はもっと陸前高田の住民との時間が長く重い気がしたが、今見るとすごい短く、ワークショップ参加者たちのパートの方がずっしり感じた。

ある出来事に対する当事者の語りと、その話を聞いて伝える語
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かげを拾う(2021年製作の映画)

3.5

痕跡の集積、再構成が作り上げる記憶、歴史。芸術家の男性が、自己表現、自分を他者に突きつけるというよりも使命感のようなものを持って突き動かされているように見えたのがよかった。署名というか、自分の文字を作>>続きを読む

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

3.0

荒唐無稽な設定と絵面のコメディ。CGで作られた世界とアクションシーンは最後までこの映画を小説や妄想の中の出来事と、映画内の地の世界を曖昧にする。

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

3.5

街の音と光に、そこに生きる人を通して向き合う。断続的に灯る暗闇の中の街灯のように、描かれた小さな営みが街の姿をモザイク状に示すような感じがする。

スーパーバッド 童貞ウォーズ(2007年製作の映画)

3.5

黒歴史でもないし、嘲笑の対象としてでもないけど、憧れもしない、何か特殊なパワーバランスの変な関係性のチームをいい意味で複雑な感情で目にして笑う、新しさのある切り口。

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.5

閉じられた空間でバチっとハマってた人間関係が、境遇の変化からベクトルが違って歪みが生じてくる。その様と、その状況に面した若いときのどうしようもない浮遊感、疎外感、所在のなさみたいなものを悲哀がこもった>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.0

スクリーン上のいろんな情報が噛み合っている感じと、ライブの没入感がより増していて、総合芸術的なショーを体感したっていう読後感になる。

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

3.5

時空歪んでるのかっていう感じに引き延ばされた時間感覚。圧倒的美術と構図、ショットの美しさ。映画の与える認知というか感覚への作用がすごい。メッセージも意外とシンプルで美しい。

ワンス・アポン・ア・スタジオ 100年の思い出(2023年製作の映画)

3.5

培ったIPでぶん殴ってくるような、歴史のある企業ならではのワザ。いろんな表現のアニメーションが実写の中で合成されているおもしろさ。

黒い神と白い悪魔(1964年製作の映画)

3.5

撮影、編集が荒々しくて汗臭く、役者のキャラクターや演じ方などと相まって劇画調でかっこいい。アメリカの西部劇やマカロニウエスタンとは違った雰囲気がいい。

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

3.5

異世界ファンタジー的な世界観と神話的な仲の悪い兄弟の共闘を、変に捻らずに軽いノリで済ませる。ユニバースの一端としての責任とかプレッシャーみたいなのをどうでも良くさせる感じのエンタメ性。

ナポレオン(2023年製作の映画)

4.0

英雄と呼ばれるようなナポレオンの英雄然としない陰鬱で嫉妬深くて人間臭いおもしろい人間性を前面に出した造形と、ホアキンフェニックスによるその表出がはまっていた。
アウステルリッツ、ワーテルローなどこれま
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吸血鬼(1932年製作の映画)

3.0

パンチラインともいえるような草刈り鎌のシルエットのショット。アッシャー家の末裔じゃないけど、多重露光など光学的な技術は幻想的なモチーフに効果的。絵画と、写真・映画の表現の差異みたいなところに思いがいく>>続きを読む

あるじ(1925年製作の映画)

3.5

絵になるショットの美しさとスムーズな編集、その両者の強度によるおもしろさ以外にこの手の作品を論じる視点や知識があまりないのかも。

アル中女の肖像(1979年製作の映画)

3.5

美しい衣装と独特というか印象的な表現センス。ときとしてその衣装とのミスマッチが逆に印象を強くするベルリンの街の姿。
アル中ではあるがアルコール依存みたいな深刻さはなく、軽やかな、スタイリッシュなライフ
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ザ・ヒューマンズ(2021年製作の映画)

3.0

もともと舞台ってこともあるのか、舞台となる建物の設計やそこでの人の動線、それに伴うカット割と画面内外での音の設計が印象的だった。野外の抜け感の使い方は映画ならでは。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

実験映像みたいな日にちの切り替わりの部分と音楽が特に良かった。
様式美みたいにされた日常の反復と、映画で切り取られた特定の期間の前後にも存在しているのだろうと思わされる日常からの逸脱。夢のインターミッ
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.0

懐古主義とはまた別の、そして楽天的ではないアナクロニズムへの信頼感がすごいと思った。同時に技術に反して普遍的である印象の愛の、時代錯誤感が皮肉っぽい。

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