タルベーラの霧。
天体の動き、音楽理論など神の定めた法則とされる美しい調和と対照的に繰り広げられる人間の営みの、その人間臭さ。
人智を超越した存在としてのクジラの目と、それが暗闇や霧の中から常に睨みをきかせている。その眼と対峙した主人公は聖俗の間で狂乱になってしまったよう。
労働に疲れ切った登場人物。作業的に行われる食事を正面から映したカット。ゆっくりとフォローする長回しのカメラワークが、時間に重さを与えるし、現場の緊張感みたいなものを生み出している感じがしてそれが画面に出ている気がする。
全裸で立ち尽くす老人の映像の衝撃。
ヘリや戦車の異物感。
