ちこちゃん

ドント・ルック・アップのちこちゃんのレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
3.8
壮大な皮肉に満ちた映画です
あと、俳優の選択も含めて、巨大な予算で作った映画とも言えます

皮肉の対象は政治に対して、メディアに対して、科学に対して、アルゴリズムとそれを信頼する者に対して、変革を唱えるイノベーションを行う企業家に対して。
しかし、最も警鐘を鳴らすための皮肉の対象は、SNSやメディアからの二次情報を信じる衆愚に対してでしょう。

それは科学に対する軽視でもあります。peer reviewed の論文の重要性を全く聞いてもらえない博士の発言にも現れています。
科学に対する信頼のゆらぎ、SNSの限界、この映画が扱っているそれらの課題は、奇しくも我々がコロナにおいて体験したことと同じです。
そして、自らの利益のみを追求する人間が、情報を使うことにより、大衆を煽動すること。これも、我々が見てきたことです。

一次情報を獲得すること、自分で考えること、科学的であること。これらをやるべきであるとこの映画は警鐘を鳴らしていますが、
我々はそれに応えているでしょうか。

映画としては、挑戦的であるし、少し冗長であるとは思いますが、興味深い立ち位置の映画でした。
そして、個人的には苦手のレオナルド•デカプリオが、良い演技だと思いました。
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