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君は彼方のyutanianのネタバレレビュー・内容・結末

君は彼方(2020年製作の映画)
1.9

このレビューはネタバレを含みます

女子高生が三途の川でグダグタして、結局戻ってくる話。

を、TVアニメのクオリティで雑に描いた本作。
ちゃんと1,900円払って観たので色々と書かせて頂く。


良いところを探すが、本当に良いところが無い。

まずアニメとしてのクオリティは低い。とても低い。
キャラの造形も動きも、背景も、画面処理も。
重力を感じさせない歩き、風の方向がまばらななびき、効果的ではない撮影処理…

ただ、この作品はなぜか途中に点描で静止画が出てくる。
静止画で間を持たせてるのだろうが、うまくない。
しかしその静止画のクオリティだけ無駄に高い。
キャラの塗り方もなぜかリッチになっていて、そこだけ浮いている。


物語はヒロイン+イケメン+女友達で、女友達がイケメンを好きだと。
ヒロインは女友達を応援するが、実は幼馴染のイケメンが好き。
イケメンに冷たい態度をとったヒロインが謝りに行こうとして、事故。
三途の川に行ってしまうヒロインと、実は霊能力を持っていたイケメンの行動は…

という大筋。
が、その物語も、人物の描き方が甘すぎ、セリフもすべてテンプレ。
行動もすべてテンプレ。共感も何もなく、もどかしさしか感じられない。

ヒロインの味方はガイドを名乗るぬいぐるみと、金魚の妖精。あと近所の婆ちゃんの姿の神様。敵は三途の川を正常に保とうとする化け物。

という事で敵らしい敵もおらず、
最後まで明かされなかった何らかの理由でヒロインが三途の川に足止めとなり、
「帰りたい」「帰らせてやろうぜ」「運命を受け入れろ」とやりあうだけ。

その何らかの理由、ヒロインがイケメンに想いを伝えてないから、とかいうなよ?
それなら突然死んだすべての人が三途の川で足止めされることになるからな!
そういう雰囲気は微塵もなかったぞ。

あと、映画の途中でヒロインが歌い出す。
薄ーい理由で歌い出すのだが、まぁそれが寒い。
そして一曲歌ったらヒロインは前向きになる。なんじゃそりゃ。

また、この映画、BGMが多い。
静かな状況が怖いのか、曲が終わったと思ったらまた曲。
客の心を置いてけぼりにして、ただただ物語を盛り上げようとする。

ちなみにクライマックス前でヒロインがガン泣きするのだが、
そこだけ声が立っていて、胸に迫るというより逆に違和感しかない。
(松本穂香の演技はよかった。が、そもそも映画に合っていない)

そしてよくヒロインが空から落ちる。
が、そこに特に深い意味はない。他作品のデジャヴ。

最後、クライマックスもちゃんと笑わせて頂いた。
夜明け、ヒロインがついに三途の川から戻ってイケメンに抱きしめられる。
セリフ的には数秒~数分の出来事なのだが、
その間に夜明けは一瞬にして過ぎ去り、なぜか青空が顔を出す。

そのまま、水平線から無駄に超巨大な太陽が半分出ている状態の青空の下で、2人が抱きしめあって終わり。
いや、これ作った人、夜明けって見たことある?

散文的に書き殴ったが、
これ以上書くのは自分の時間の無駄なので、ひとまずここまで。

この作品、本当に良いところが無い。
のに最近は山手線内で監督がインタビューに答えているCMをよく見る。

その監督、プロデューサーであり脚本家であり音響監督であり…
と、自身の仕事をエンドクレジットでアピールしているのが悲しい。
先にあげた1人ミュージカルの歌も監督が作ったという。

本当になにもうまくいっていない残念な作品なのだが、
その責任を一手に引き受けた監督の漢気にだけ賛辞を贈ろう。
あと、化け物の造形が良かったので+0.1。

酒飲みながら配信で観る、以上のメリットが見つからん。
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