とても良かった。
最後は号泣した。
万引を咎められ、逃げる少女を
追いかけるスーパーの店長。
運悪く、少女は車に跳ねられ、
トラックに轢かれてしまう。
一瞬の出来事で、人生が狂って
しまい、負の連鎖が始まる人々。
少女の父を古田新太、
店長を松坂桃李が演じる。
過剰な演出ではないので、
リアリティーがあり、どの人物にも成りうる怖さがあり、
追い詰められていく苦しさが
感じとれる。
取り返しのつかないことがあった時、人はやり場のない思いをどこに
向ければいいのか。
大切な人を失った時、人はどうやって折り合いをつければいいのか。
善悪でしか物事を判断しない、
善意という狂気を突きつける人。
興味本位だけでむらがり、
不躾にカメラを向け、
悪意剥き出しの情報操作を
行うマスコミ。
生徒のことより、学校に火の粉がかからないようにする教師たち。
様々なことが見えてきたり、
加害者が被害者になることで、
やり場のない怒りをぶつけた
だけの父の感情に変化が表れてくる所は涙があふれた。
救いの見えるラストにまた
安堵の涙が止まらなかった。
後でパンフを読むと
約20年前、古書店で万引した中学生が逃走中に死亡したという実際の事故をモチーフにして書いたというオリジナル脚本。
役者は皆良かったがやはり、
松坂桃李が、とても良かった。
追い詰められていく店長が、
弁当屋にキレるところとか、
善意を押し付けられて、
寺島しのぶをもってしても
拒否する所とか、真に迫って
いた。
今まで、観た吉田恵輔監督の作品は、どれも独特の味わいで、強烈で、強く印象に残る。
「キネマ旬報」10月上旬号の
星取り表。
★をつけない作品もある
井上淳一監督の辛口レビューに
「空白」は★が4つ(オススメ!)ついていて、
「脚本に嫉妬」と書いてある。