ねこ

空白のねこのレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
4.4
1年以上振りパラサイト振りに映画館に行ってきました。
平日の朝1でもまぁまぁ人が入っていて人気でした。レディースデイなのでおばさま方が多いのね。

まずもって脚本が素晴らしかったのと、俳優陣の演技力の高さが半端なかった。
桃李くんのうだつの上がらない演技が上手かった。さすが桃李くん。
事故で亡くなった女子中学生役の子も引っ込み思案な感じがすごくリアルすぎた。
「間に合わないです」の言い方がすごいリアル。そんな言い方の子おるわほんまに。

桃李くんが店長のスーパーでマニキュアを万引きした女子中学生が店から逃走して車道に飛び出した瞬間に車に轢かれて亡くなってしまう。(本作の起の部分に当たるこの場面意外とあっさりしてました)
娘が万引きするはずないし化粧もしないと言い張る父親の古田新太がスーパー側や轢いた人、学校にまくしたてて追い詰める。

うだつのあがらない店長と相手をまくしたてる事しかできない父親だけじゃ話にならないとこですが、とにかく脇役が素晴らしい。
店長を守るベテランパートおばちゃん
古田と離婚して再婚した元嫁
厳しい古田新太の元で働く若者
轢いてしまったドライバーの母親
など、この人達がいて物語が進むのと同時に桃李と古田の人間性が変わっていく。
脚本と魅力的な演技が良かったのでずっと釘付けになる程に全く長く感じなかった。

冒頭に書いたように館内はおじいさんとおばあさんばかりだったので静かでしたが古田新太の絵画のシーンではおじいさんもつい声出して「ファっファ👴」って笑っていました。
そんな一瞬のほっこりがずっと続いてた緊張感を緩めてくれます。
万引きはダメとかじゃなくて子供の事どれだけ分かってあげてるのか突き刺さる内容でしたし、観る人によって感情輸入できる人物が異なると思います。
古田新太の元嫁役の田畑智子が話した内容に今の自分と同じ境遇が重なり、すごく共感してしまいました。

そして邦画の底力を感じましたね。
オススメです。
ねこ

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