あおい

空白のあおいのレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
4.2
リアルな設定で、善悪の根本を考えさせる苦しい映画。事件をきっかけに浮かび上がる現代の闇。

善を疑わず押し付ける人、信じたいことしか見ようとしない人、確固たる自分が無く言葉足らずだったり曖昧な笑いを浮かべてしまう人。
切り取りたい形にだけ切り取るマスコミ。無責任なSNS。

青柳を文字通り叩き潰していく過程で起こるもう一つの悲劇。後半のその事件の際の母の言葉からやっとなんとかモンスターな父親に映画的な変化が現れ、ほんの少しの前進を感じる事ができた。
やってきた事に比べればこれくらいの変化で共感させるんだから、監督の思うツボかも。

キツイ映画の中で、一筋さすような救い(苦笑も)が多々あり、不思議と見終わった感は、悪くない。お弁当のくだりは松坂君の演技と相まって、感動。

ラスト、初めて娘と繋がった白い空白のようなイルカ雲も、父親の流す涙も、大切なものを失って初めて気づいた喪失感を感じた。
あおい

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