タク

空白のタクのレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
3.0
希望の光も見いだせない空白の地に
男は何を求めるのか、、、。
[ストーリー]
とある港町で生計を立てる中年の漁師
添田充(古田新太)は、気性が荒く周りとの付き合いがあまり上手くいかない頑固な人物だった。

彼には中学生の娘がおり男一人で今は育てていた。
そんなある日スーパーで娘が万引きした瞬間を目撃したスーパーの店長(松坂桃李)は、娘に接触、しかし彼女は逃げ出してしまう。
急いで飛びたした勢いで車に跳ねられ死亡してしまう。

娘を失った父親は、自我を失いスーパーの店長、学校に出向き暴走し様々な人物が徐々に追い込まれていく、、、。
[キャスト]
古田新太 松坂桃李
伊藤蒼 趣里 藤原季節 田畑智子
寺島しのぶ
[監督] 吉田恵輔
[感想]
・[古田新太の怪演に圧巻❗️❗️]
まじで見てる側も鬱になるぐらい迫力のある演技でした!
娘を失ってからのあらるゆ所に吐き出す暴言や、自分の正義、、この行動によってあらゆる場所や人々が変化していきます。
この影響力は古田新太の演技力によって
理解できるものになってるし、納得せざるを得ない位怖いかったので、役としては完璧でした!

この作品は登場人物の心情や、それぞれの人物に感情移入できるくらいリアリティのある作品に仕上がってます。
その理由は、演者の演技力のお陰だと感じました!
特に古田新太の娘を失った時の感情や、自分の赴くままに行動してしまい怒号を散らしまくる姿は、感情移入を容易にできる1つの要因だと感じました!

ラストにちょっと穏やかになった古田新太の姿が見れて安心しました(笑)☺

・[暗いストーリーの行き着く先]
全体を通して常に暗い仕上がりになっており、物語も終盤に行くまで登場人物ほぼほぼ全員が不幸に陥っていきます。

ここで辛いと感じてしまうかもしれないが、ラストまで見ていくと古田新太と
松坂桃李の埋まらなかった空白が少しだけ埋まっていく様が見れたのは唯一の救いですね。

古田新太が娘の為に自分なりの正義を貫き、様々な人物が精神的に病んでいくのが序盤から終盤にかけて、描かれており

ラストの数十分だけ、父親が娘の遺品に触れ始め、、
父親としては初めて娘の好きだった本や絵に触れ、娘と向き合い直す、、、
この着地点は、
「失って初めて気づく大切さ」を描いており映画の中でやっと丁寧に描かれた父親と娘の触れ合いでした。
このシーンは、マジで感動します!😭
[最後に]
加害者、加害者の家族、店長、スーパーの店員、父親、全ての人物に感情移入してしまう程リアリティがある作品でした!
父親を主人公:正義として見て、松坂桃李や加害者側を悪として見るか。

それとも松坂桃李側を正義として、古田新太を悪として見るか。
様々な視点から見ることによって感じ方が違うと思うし、映画の見方も変わると思います。

映画としては、辛いシーンも多いですが
ラストの父親が初めて娘と向き合ってみるシーン。
寺島しのぶや、趣里の身近に居そうなリアリティのある人物は、脇役なのに印象に残るし、
注目すべきシーンは父親の娘は本当に万引きを、したのか??
肝心なシーンが空白になってる所も多々あるので考察する為にもう一度見返したくなる作品ですね。
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