sakura

空白のsakuraのネタバレレビュー・内容・結末

空白(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

それぞれの言い分があって、どの人の言い分も間違っていないから、すごくしんどい。

最初のうち私は、
これ、事故に遭った子が悪くないか…?
と思った。
スーパーの店長と車の女性のほうが可哀想で、2人にとっては不運で不可避な出来事だったわけで…例え事情があったにせよ、悪いことをしたのは彼女なのですから。
でも観ているうちに、この女の子は万引きで捕まったらあの父親に何を言われるか(されるか)分かったもんじゃない恐怖で、あんなに必死に逃げたのだろう。
そう思うと、すごく心が苦しくなった。

女子を轢いてしまった女性は謝罪すらも聞いてもらえない事や人を死なせてしまった罪の重さに耐えかね自殺してしまい、その葬儀でのシーンがまた、涙が出るというよりは本当に観ていて苦しい気持ちになった。
同じ娘を失った同士、でも対照的な親としての姿に女の子の父親もさすがに気づいたんでしょう。なにをどう足掻いても娘はもう戻ってこないということ、誰かを責めることで自分の寂しさや責任をごまかそうとしていたこと、親として今なにをどう行動するべきなのかを考えたとき、少しずつ変わっていく父親。

この映画が特にもずっしりと心にきたのは、事故に関わった人たちは何かしらを失っているけど最終的には少しの救いもあったこと。
スーパーの店長が声をかけられたシーンこそ、私は涙が出ましたね。
あの言葉って、言ったほうは単純に自分の気持ちを何気なく言ったつもりでも彼にとっては一生の支えになるんじゃないのかな。
私もそんなふうに、人に対して周りと一緒にならず、正義感ぶるわけでもなく、責任転嫁もせず、自分の想いを素直に言える人間になりたいと思った。(もちろん時と場合による)
sakura

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