このレビューはネタバレを含みます
アイヌ文と現代社会での板挟みに置かれる中三の子の話
文化は観光客に見せるような表面上のものだけじゃなく、見せるのをはばかられるようなものもあって、でもそういうものも向き合っていかなければ生活としての文化は守られていくことは無い
「日本は単一民族国家である」という幻想は、本来存在しないはずの「普通」や「一般論」を拡大させ、アイヌ(もちろん琉球民族も)の生活としての文化を打ち消してしまうものになる。そして、アイヌと日本人に境界線を敷くことに関しても、日本人としてのアイデンティティを奪うことに繋がる。常に文化とはグラデーション的であり、主人公の板挟み、苦しみも境界線によって生まれている側面もあるのではないか?