スチールラグ

アイヌモシリのスチールラグのレビュー・感想・評価

アイヌモシリ(2020年製作の映画)
4.5
小熊の丸く黒い眼。
"彼ら"は、じっとこっちを見ている。
こちらからは見えないけれど。
でも、感じることはできる。

自然の描写は穏やかだ。
なだらかな山並み。
静かな湖面。
かすかに鳴る風の音。

でも、冬の寒さの厳しさが、
そこで生き抜く過酷さが、
人々と自然の関係を濃厚なものにする。
だから、その中に、神や死者を見たとしても不思議はない。

「あなたはアイヌですか?」
冒頭、観光客の何気無い質問にドキッとする。
観光が人々の生活の基盤になっているからこそ、
日々、繰り返されるだろう風景。
でも、その質問に僕の心は重く沈む。
少年の母はこう応えても良かったのではないか?
「わたしはアイヌです。あなたは何者ですか?」

そして、ひっそりと行われるイオマンテ。
観光客の前ではなく、
銀世界の自然の中で、
手を打ち、歌う、女性達のそのリズムと声は、
心の中に沁みて来て、何だか泣けて来る。

物語の最後、少年が見たものは、カムイそのものだったのではないか。
ようやく、"彼ら"やその世界を確信した瞬間。
その始まりだったように思う。


追記
20ヶ月も掛かって、ようやく100レビュー(;´д`)
遅っ!とお叱りを頂くレベルかと思いますが、
個人的には、よく書いたな…というのが本音です。
人生の中でこんなに映画を観たのは初めてです。
これからもマイペースで続けますので、
どうか仲良くしてください(_ _)
200レビューは多分3年後くらい?
1000レビュー?? カムイの国から投稿します(^_^;)
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