小熊の丸く黒い眼。
"彼ら"は、じっとこっちを見ている。
こちらからは見えないけれど。
でも、感じることはできる。
自然の描写は穏やかだ。
なだらかな山並み。
静かな湖面。
かすかに鳴る風の音。
でも、冬の寒さの厳しさが、
そこで生き抜く過酷さが、
人々と自然の関係を濃厚なものにする。
だから、その中に、神や死者を見たとしても不思議はない。
「あなたはアイヌですか?」
冒頭、観光客の何気無い質問にドキッとする。
観光が人々の生活の基盤になっているからこそ、
日々、繰り返されるだろう風景。
でも、その質問に僕の心は重く沈む。
少年の母はこう応えても良かったのではないか?
「わたしはアイヌです。あなたは何者ですか?」
そして、ひっそりと行われるイオマンテ。
観光客の前ではなく、
銀世界の自然の中で、
手を打ち、歌う、女性達のそのリズムと声は、
心の中に沁みて来て、何だか泣けて来る。
物語の最後、少年が見たものは、カムイそのものだったのではないか。
ようやく、"彼ら"やその世界を確信した瞬間。
その始まりだったように思う。
追記
20ヶ月も掛かって、ようやく100レビュー(;´д`)
遅っ!とお叱りを頂くレベルかと思いますが、
個人的には、よく書いたな…というのが本音です。
人生の中でこんなに映画を観たのは初めてです。
これからもマイペースで続けますので、
どうか仲良くしてください(_ _)
200レビューは多分3年後くらい?
1000レビュー?? カムイの国から投稿します(^_^;)