みのまめ

街の灯のみのまめのネタバレレビュー・内容・結末

街の灯(1931年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

主演脚本監督すべてをこなすチャップリンは、本当に天才的な才能とカリスマ性を持っているのだと改めて痛感させられた。

そして、今作は社会風刺をひとつのテーマとしたモダンタイムス等とは異なり、純粋な人間同士の運命観にスポットを当て、スマートかつ誰にでも共感できる作品に仕上げている。

チャップリン演じる男の、自殺しかけた金持ち男との出会いから始まった、あと1日遅刻しなければよかった仕事や急遽変更されたボクシング相手、しかも彼とは間一髪で敗戦、そして予期せぬ投獄などという劇中エピソードは、どれも次のエピソードに深い繋がりを持つもので、男と女性が何か運命的なものに導かれているような雰囲気を醸し出す。

ところで、自分という存在に悩みを持ち続ける金持ちの男は、いつまで経っても幸福を掴み取る事は出来なかった。彼はおそらく迷いすぎたのだ。何をしても上手くいった気にならなかったのは、きっぱりと何も恐れずに、行動できていなかったのだと考察する。

そんな彼と対比されるのが、チャップリン演じる男なのだ。彼は彼女を助けるという目の前の目的だけに、ただ身を捧げどんな壁が行手を阻んでも何とかトライしてみせた。その結果、盲目の女性と心を通わせられたのだ。彼が金持ちの事をあえて、
「相棒」と呼ぶのも、表裏一体の関係を表現するためだろうと考えられる。
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