zoe

Swallow/スワロウのzoeのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
3.8
コロナの影響で劇場で鑑賞できなかった作品。R15指定だったからもっと過激というかグロいのかなと思って少しビビりながら観てみたら思ってたより気持ち悪くなかったし、グロくもなかった。でもやっぱり痛々しい。

誰もがなる可能性を持っている異食症。そんな異食症がテーマの映画だけど、誰もが共感できるような女性の生きづらさを描いた映画でもあった。

自分に自信を持つ方法を見つけて、自分が本当は幸せじゃないという現実を自覚して、自分の力でその現実から抜け出してまたひとつ強くなる。

ハンターが生きてきた上で自分ではどうすることもできなかった“孤独”が長い時間をかけて彼女の心を蝕み、それが“異食症”という形で目に見えるものになった。些細なことの積み重なりがそれを引き起こしたのに間違いないけれど、もし誰かが一度でも彼女を尊重してその悲しみや苦しみを理解しようとしていたら...そう考えてしまう。

映像もすごく良くて色味はもちろん、画角やカメラワークも好き。息をしていないように見えるだだっ広い豪邸のなかにハンターが一人きりで居るシーンは特に豪邸には似合わないような感情が漂っていて、生気のない背景がそれを強調していた。

鋭利なものを飲み込むシーンは、やっぱりどうしても観ていて多少お腹とか喉が痛くなったというかそんな気がした。

ラストシーンでは一見まだ不安が残るようにも思えたけど、ハンターは確実に自分の人生を歩み始めていた。エンドロール、あの場所が映されていることにとても大切で大きな意味が込められているように思えた。
zoe

zoe