アラシサン弐

Swallow/スワロウのアラシサン弐のレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
4.0
痛い。
でもホラーかと思ってたら、抑圧された女性が自分の意思で新しい人生を歩み始めるまでを描いた話だった。

異物を呑むシーンはリストカットとか外的な自傷とは違う、内側からゾワゾワしてくるような、見ているだけで痛そうな描写ながらも、何より呑み込んだ時のハンターの恍惚とした表情に鳥肌が立つ。

異物を呑むのも、ただ満たされる為の自傷行為以上の意味が見えてくる。
押さえつけられた中で唯一選択して行える自由であるし、モラハラ家族の一族となる腹の子を傷つける為の反抗にも見えてくる。

そんな「次は何飲み込んじゃうの」という緊張感のある前半から、彼女自身のパーソナリティと向き合っていく展開になっていくのが見事で、どこに着地するか全く読めなかった。

彼女が自分の罪悪感と向き合うための承認欲求が、モラハラ夫でも夫家族でも自身の母親でもない、とある意外な人物へ向かっていくのが面白い。

ラストの選択は物語開始時から踏まえると個人的に希望を感じたけど、倫理的にかなりキツイので「は?」となる人も多そう。
アラシサン弐

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