Sooin

Swallow/スワロウのSooinのネタバレレビュー・内容・結末

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

タイトルのSwallow。
主人公は異食症になりあらゆるものを「飲み込む」。自分を愛していると言ってくれる夫、素晴らしい家、何不自由ない暮らし、新しい命、幸せを全て手にしているはずなのに何故か満たされないその思いも「飲み込む」。自分という人間の存在に対する疑問も「飲み込む」。飲み込むことで表面上にキズは見えないが、身体の内部でも精神の内部でも飲み込んだものはあくまでも異物で静かに彼女自身を蝕む。

美しい映像は主人公の抱える孤独を引き立て、言いたいことを飲み込む彼女の心は時折かかる音楽が説明する。その演出がまた孤独感、疎外感を増幅させたように感じた。よく出来た映画だった。

ラストで主人公はこれまで押し殺し飲み込んできた感情を自分の実の父親にぶつけるのだが、それは「飲み込む」という行為を続けた彼女が初めて「吐き出した」瞬間だった。熱心な右派家庭に育った彼女が堕胎を選ぶというのはかなりの決断=吐き出し行為だったはずで、でも自分を縛り付けるものからやっと解放された時の表情は安堵に溢れていて美しく、とても印象的だった。
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