山田

Swallow/スワロウの山田のネタバレレビュー・内容・結末

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

あらすじを読んで興味をかき立てられていつか観たいと思っていた1作。ようやく観られました。

過去いち参考にならない感想を書きます。
終始泣き通しで観たけど、本来泣ける話ではないと思うのでちょっと特殊なものの見方をしすぎた自覚がある。
(なのでみんなの感想を読むのが結構楽しみだったりもする。)







正直な話、ハンターの気持ちに同調しすぎてしまい最初の朝顔のあたりから泣きながら観た。
観る事をやめるべきか悩むくらいずっと涙が止まらなくて、自分でも何でここまで同調してしまうのか分からずだんだん怖くなってた(笑)
ハンターの話をまともに聞いてくれる家族がおらず、旦那や義両親には話を振っておきながら途中で話題を変えられたり、「そんなことか」と相手にされなかったり。誰かといるのになぜかもの悲しくてそれが辛かった。
旦那は愛していると何度も囁いてくれるけど、心がないことは日々の端々で伝わってくる。寂しいからハグしてくれと言ってきた男や、「いつでも帰ってきていいのよ」と言った母親からも実感して嬉しくなれるほどの愛情を感じ取る事ができなくて、なんだか無性に寂しくて、余計に泣けてしまい、ハンターが優しさでハグした男に一瞬でも癒されてしまったかもしれない感情の揺らぎもしんどくて終始複雑な気持ちになるほど、いままでになく特殊な映画の見方をしてた。

「この男と結婚できて幸せだろ?なら今の生活がある事に感謝しろ。ハンターは幸運だった。」と裕福な暮らしに対する幸せの強要を周りも旦那もしてくる事が辛かった。
たしかに旦那や義理の両親がハンターを思いやってるであろう事もわかる。食事療法だの看護師の監視だのお金をかけてくれてる事もわかる。でも馬鹿にしてることもわかる。

人が飲み込まないものを飲み込んだ事できっとハンターは強くなった気がした。できないことをやってのけたから。
舌に乗せた時の感触や喉を通る時のスリル。異食症という病気を今回初めて知った。飲み込むものは髪の毛、土、ビー玉、諸々、食べ物ではないものを食べてしまう摂食障害だそうだ。

突如家にいる様になった看護婦の男の「戦場では精神を病んでる暇がない」の言葉に「ハンターが暇だから病んでるって言いたいのか?ハァ?」くらいイラついたのだけど、カウンセラーが守秘義務を守らなかった事でショックを受けたハンターがベッド下に潜り込んだ時に寄り添ってくれて、肩に添えてくれた手から唯一優しさや思いやりを感じる事ができてなんだかそれがぼくとしてはとても嬉しくて、同時にとても寂しくなって一番ピークで泣いた。

正直特段愛してないくせになんで旦那はハンターと結婚したのか疑問でしかない。
愛してるよと囁いて、妊娠中の妻に性行為を求め、夜遅くに友人を招き入れ騒ぎ、妻の話を聞くつもりはなく、異食症について理解しようとしてると言いながらも困惑しているハンターに「結婚前に言ってほしかった」と怒鳴る夫。
最後で本音が溢れてましたがとんだモラハラ夫で腹が立つ。

ハンターの出生理由も彼女が異食症になる一端ではあると思うけれど、それを旦那が蒸し返すのはどうかしている。
最後にハンターが求めたところがレイプ犯である父親だったところもとても切ないけれど、父であり他人の男が伝えた言葉のどれかしらでもハンターの泥を拭う事ができていたならと願うばかりでした。

自分のために生きればいいんだよ。
山田

山田