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サイコ・ゴアマンのRのネタバレレビュー・内容・結末

サイコ・ゴアマン(2020年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2020年のカナダの作品。

監督は「ファーザーズ・デイ/野獣のはらわた」の監督の1人、スティーヴン・コスタンスキ。

あらすじ

太古より庭に埋められていた名前のない銀河の破壊者「残虐宇宙人」はある日、そこに住んでいた少女のミミ(ニタ=ジョゼ・ハンナ)によって偶然掘り当てられて封印を解かれてしまう。すぐさま残虐の限りを尽くすはずが、極悪な性格のミミに自身を操ることが可能な宝石を奪われてしまったことで、その自由を奪われてしまう。ミミによって「サイコ・ゴアマン(マシュー・ニネーバー「ダーク・プロトコル」)と名付けられたその宇宙人はかくしてミミの奴隷兼友人として泣く泣く共に生活を共にすることになるのだが…。

当時、一部でそれなりに話題になって、評判も上々だったので、気になってようやく鑑賞。

結論としては、笑えるところもあったけど…という感じ。

お話はあらすじの通り、銀河中で恐れられる残虐宇宙人が地球に住む性格最悪な少女に拾われたことでさぁ、大変!!というかなり悪ふざけが過ぎるような内容なわけだけど、まずこのタイトル通り「サイコ・ゴアマン」という、ちょっとどうかしてるセンスの名前を付けられた宇宙人が普通にヤバい!

見た目からしてウルトラマンに出てきそうな全身紫で鬼か悪魔そのもののようなマッシブな感じで見るからに強くて怖そうなんだけど、やってることも登場時から最恐最悪!!まず、封印から目覚めた時点で付近の工場跡地かなんかで屯する不良かホームレスみたいな輩3人に襲い掛かるんだけど、下っ端2人は超能力で身動き取れない状態にした挙句に2人同時に首チョンパにしちゃうし、リーダーに関しては「死ぬよりも恐ろしい恐怖を味合わせてやる!」的な感じで生きたまま屍にされて、脳内で無限地獄みたいな悪夢を見させられて「もう殺してくれ…」みたいな状態にしちゃう…。いや、名前通り、のっけからゴアゴアだな!!

その後も、ゴアマンの登場に駆けつけた警察官1人を顔面ドロドロにして自我を保てなくしたまま下僕にしたり、裏切ったかつての手下の1人をその口を顎が外れるくらいカパッと開けてバクバク喰っちゃう笑笑。マジでバケモンだわ。

ただ、そんな恐ろしいゴアマンよりも更に恐ろしい少女が主人公ミミ。見た目はいたいけな8歳の少女な訳なんだけど、顔立ちが意志の強そうな目とキリッとした鷲鼻でどことなく魔女を彷彿とさせる感じで、常にどこか挑戦的に見える。どことなく成田凌にも見える実の兄貴ルーク(オーウェン・マイヤー)に対しては兄というよりは家来のように従えてし、ゴアマンに対しても、彼に対して命令することができる「プラクシディケの宝石」を持った事をいいことに兄と同じく手下のようにこき使って好き勝手やりまくる!

序盤で笑ったのがゴチャゴチャうるさいゴアマンに「手拍子してろ!」と命令した後にずっとパンパンやってるのに「手拍子うるさい!」とか言っちゃってて理不尽過ぎる。

そんな感じで明らかに最恐宇宙人と極悪少女とその兄貴という明らかにトーンが違うキャラクター同士の「ミスマッチ」が醸すシュールな面白さが良い。自らの過激な過去を語らうゴアマンに対して「話が長過ぎる」と飽きちゃったり、セクシーなメンズの写真集をミミに渡されて「こんなのいらん!…いいかも❤️」とゴアマンのフェチが明らかになったり、その後お父さん(アダム・ブルックス「ファーザーズ・デイ/野獣のはらわた」)お母さん(アレクシス・ハンシー」)も交えて一緒に住むことになるんだけど、買い物に出かけてファッションショーをしたり、お父さんにいたずらをしかけてほくそ笑んだりと、段々と家庭にゴアマンも馴染んできてて、なんか「変化球なドラえもん」観てるみたいでほのぼのとする。

ただ、もちろんゴア描写もある分、ブラックな笑いが効きすぎてるんだよなぁ。上記のほのぼのシーンでミミたちと街を練り歩くゴアマンに「ハロウィンの仮装かよ!」と野次を飛ばした少女を爆散させたり、上記の生きた屍となる警察官もそうだし、無関係な人や子どもも酷い目にあっちゃってて、ちょっと笑えない部分もあった。特にルークの友だちでミミの想い人であるアラスターなんか、ミミの「一生私の友だちにして」みたいな願いに応えて、変身させちゃうんだけど、その姿がギョロ目の全身脳みそみたいな変わり果てた姿でめちゃくちゃ可哀想…。まぁ見た目はマスコット的にキモカワイさはあるにはあるんだけど、ちゃんと自我も残ってて「僕は帰るよ…」とそのまんまの姿でトボトボと家路に向かったまんま結局最後まで元に戻らずほっとかれるって酷すぎてもうなんか…。

ミミもミミでアラスターがその姿になったことに恐怖するばかりか「一生一緒にいられるね!」的にチューしてキャッキャするサイコというかヤンデレすぎるし…ちょい引いた。

他にもゴアマンとの手下軍団とのニチアサ感漂う戦闘シーンは血飛沫飛びまくり、首吹っ飛びまくりのゴアゴアバトルだし、お父さんは片腕切られるし、お母さんは変な宇宙人に変身しちゃうし(まぁ元に戻るが)なかなか苛烈な描写が多いんだけど、終盤の展開は良かった。

宇宙からゴアマンを追って攻めてきたテンプル騎士団の刺客パンドラを交えて、ゴアマン&ミミ&お父さんvsパンドラ&お母さん&ルークの序盤のミミとルークによる過激スポーツ「クレイジーボール」での対決!!

このクレイジーボールってのはスタッフロールで監修とあったけどオリジナルスポーツなのかな?対面した両者が同時にボールをぶん投げて「お尻に当たったら5点」とか「3回転して「クレイジーボール!」と叫ぶ」とか「最後のボーナスで腹パンしたら相手の点数全部奪える+1点」とか謎ルール満載の楽しいスポーツなんだけど、それをゴアマンもパンドラも一生懸命やってて面白い。また、その中でミミの振る舞いにうんざりして寝返ったルークとの兄妹の和解がミュージカルdis交えてあったりとドラマ要素も加味。最後はクレイジーボール度外視で襲いかかるパンドラをゴアマンがむしゃむしゃ食べて決着つける流れも本作らしくて良かった。

まぁ、ラストはミミとの別れでドラマチックに締める…と思いきや、さぁここからは俺の天下だ!と地球で暴れまくるゴアマン…いや!全然懲りてねぇじゃねーか。このラストは「チェンソーマン」の藤本タツキは褒めてたけど、俺はちょっと…。

そんな感じで楽しい、面白い部分もあったし、ゴアマンやミミのキャラも良かったけど、全体の悪趣味な笑いが合わない部分もあって、なかなか人を選ぶ作品だと思います。
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