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君の心に刻んだ名前のkomonoのレビュー・感想・評価

君の心に刻んだ名前(2020年製作の映画)
4.5
戒厳令が解除された直後の台湾。受験を控えた高校生・アハンは転入してきたバーディと出会い、すぐに恋に落ちる。しかしまだまだ同性愛者は変態と揶揄される時代、どうすることもできず想いを募らせる日々。真っ直ぐな愛を貫くアハンと彼を想うバーディはやがてすれ違う……

『BOYS』や『彼の見つめる先に』と異なり終盤にかけて強く光り輝く青春とはいかず、光り始めた頃に袋を覆い被せられるような、それでいてその闇の中から自分で抜け出す一歩を踏み込めない、時代を負った苦しい心の中は透けて見えるようにひしひしと伝わってきた。終盤くらいまでアハンと同じくかなりモヤモヤしてたけどそこからの急転、そしてゆっくりとした時間経過でさらりと美しく回収された。それがあのエンディングと主題歌で見事に昇華される。
返校で見事なデビューを飾ったツェンくんはさらに一皮剥けた演技で観客を魅了し、エドワードくんもまだまだ新人ながら思い悩む姿が特に印象的な演技で魅せてくれた。二人の演技でより良さを増した作品。
作品の中では終盤の時代の変化を背景で自然に表しているところとラストシーンが好き。
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