BOSSblack

ザ・ビートルズ:Get BackのBOSSblackのレビュー・感想・評価

ザ・ビートルズ:Get Back(2021年製作の映画)
4.3
3部作、約6時間のドキュメンタリー!ジョージの脱退騒動以外では特に映画らしい盛り上がるエピソードはないけどビートルズの4人の曲作りや、その時折の何気ない会話、時には踏み込んだ意見の応酬、家族や恋人と一緒にいる時に見せる顔、メンバー同士でふざけて踊りはしゃいでいる様子など、レジェンドとしてしか知らなかったビートルズ4人の等身大の姿と人間関係の一端が垣間見えてくる。
時間の大半を占めるのは期日までに新曲を作らなければいけないとのことで模索する4人の姿ですが、この創作風景が極上。未完成の時点で4人の演奏技術とハーモニーが物凄く心地よく、何回も同じ曲のリテイクが流れますが何回でも聴いていられる。そして時折息抜きに他のバンドの曲のセッションがはじまったりするご褒美映像付き。
ただ結果期日までに指定の曲数が出来ないのは4人のモチベーションが既に高くないことを表しているのでしょうが、完成した数曲は極上の名曲というところがレノンマッカートニーの才能に驚くばかり。またこの業界、2週間で11-14曲の新作を作るってのは当たり前なんでしょうか?このハードルの高さも驚くばかり。なんのためにいるのかよくわからないけどずっとジョン・レノンの横で画面に映っているオノ・ヨーコはこの音楽を生で聴けていたのが羨ましい。
映画の最後は当初の予定から大幅に変更になった結果生まれたビートルズ最後のライブ、ルーフトップコンサート。ここまでの約5時間半とはうって変わり聴衆からの反応を感じたことで4人がとても楽しそうに、特にジョンとポールが楽しそうに演奏をしているのが見ているこちらも気持ち良い。音漏れから隣のビルの屋上や付近の道路に人が押し寄せ、警察沙汰になっているのを楽しんでいそうな4人も可愛らしい。ライブは見てくれる聴衆の熱量も含めて成立するものというのが改めてわかる瞬間。でもそのような体験があってももう繋ぎ止められないぐらいビートルズであることの苦痛が4人それぞれにあったんだろうなということもわかる映画。
BOSSblack

BOSSblack