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BURN THE WITCHの都部のレビュー・感想・評価

BURN THE WITCH(2020年製作の映画)
3.6
久保帯人氏の作品で見受けられる 魅力的なキャラクタービジュアル/思春期の心を擽るような横文字の羅列/コミカルとシリアスの同居したユニークな掛け合いなどの作家性が持つ魅力を申し分なく閉じ込めた作品でありながら、既に設定が構築されていた代表作 BLEACHとは一風変わったフレッシュな味わいの映像作品となっている。
強いて言えば漫画という媒体の特性を活かした絶妙な間の取り方の再現性は低い印象で、最低限の上映尺がシークエンスの移り変わりの速さに起因しており、テンポが良すぎるが故に緩急の妙は機能していないようにも思える。

映像的な快楽という点では、劇場公開映画を見込んだ奥行ある作画がリバース・ロンドン並びにその街に根差す魔女達を魅力的に映像に起こしており、ケレン味という点ではやはり漫画原作には劣るものの観客の興味を強く長く持続させるに充分なものだ。数々のキャラクターはやはり魅力的で、63分という上映時間の短い出番ながらその言い回しから濃厚な個性が垣間見える点はキャラクターの立たせ方の上手さが見て取れる。

しかしながらあくまでも短期連載用の原稿をアニメ化した弊害が出ているのも事実で、事前に世界観とキャラクターを描写したプロローグとも言える読み切りを飛ばしているために、ファンムービー的な側面はどうしても強くなってしまってる点は否めない。ある程度知った上で目にしても不明点が多くある本作だが、分からないところは分からないままで愉快な長編アニメーションとして楽しむという割り切りは少なからず求められるので注意されたし。
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