セッセエリボー

ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたちのセッセエリボーのレビュー・感想・評価

4.9
90年代にドーナル・ラニーという人が「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」というプロジェクトを通じてアイルランド音楽の位置づけ直しを行い、ブルースばかりが重視されていたロックの歴史にアイルランド音楽→ヒルビリー音楽というもうひとつの線を通すというとんでもない偉業を成し遂げたのだけど、それと同規模の歴史の転換に立ち会っているのだという気がして体が震えた。20世紀のアメリカ音楽にはインディアンの音楽が重大なファクターとして機能している、しかもそれが白人音楽とも黒人音楽とも複雑に混合しながらほとんど知覚できないレベルで網状組織を張り巡らせ、新たな響きを生み出し、後続の才能を突き動かすPulseになっている、という強力なバイアスの発明。歴史は変えられないが、その構成要素の配置を変えることで歴史のあり方を変えることはできる。ということを見事に証明するすばらしい映画だと思います。久々にアタリ引いた…!

ウラリ、レッドボーン、ジョン・トゥルーデルなど知らなかった掘り出し物アーティスツに出会えたこと、ジミヘンやシナトラやチャーリー・パットンの知られざる顔を見られたことも大収穫。ニール・ヤングとかにも言及してほしかったな〜。
参考音源としては、Light in the atticというレーベルが出してる「Native North America vol.1」というコンピレーションがおすすめです。あとリンク・レイの兄弟のヴァーノン・レイが出してる「Wasted」というアルバムもなかなか渋くて良いです。