ゴン吉

護られなかった者たちへのゴン吉のレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
4.8
ベストセラー作家の中山七里さんの同名ミステリー小説をもとに描いたヒューマンミステリードラマ。
佐藤健さんと阿部寛さんが共演。

東日本大震災から9年後の宮城県が舞台。空きアパートの一室で縛られたままで脱水と餓死による殺人事件が発生した。
続いて同様の餓死殺人が起きる。
被害者はいずれも善人として周囲からも慕われていた。
捜査を担当した宮城県警の笘篠誠一郎(阿部寛)は、刑務所から出所したばかりの放火魔の利根泰久(佐藤健)が事件に関係しているとマークするが、そんな中、代議士候補者襲撃事件が起きる。
果たしで事件の真相は……  

護られなかった者たちに対する護れなかった者たちを描いた作品。
サスペンスとしてもヒューマンドラマとしても見応えがあった。
登場人物のイメージが二転三転する練られたストーリーが素晴らしい。
東日本大震災の悲劇を風化させないためにもこういう作品はぜひ継続して作って欲しいです。
一方で、現代社会が抱える生活保護の課題や問題点も描いている。
東日本大震災の悲劇と傷跡に加え、日本が抱える問題も取り上げた骨太の社会派作品で、息が詰まるようなやるせない涙が流れます。
沢山の皆さんに観てほしい素晴らしい作品です。
「おかえりなさい」
ありふれた言葉ですが、この言葉のもつ意味は深いです。
「死んでいい人なんかいないんだ!」  

試写会にて鑑賞
ゴン吉

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