じーふい

護られなかった者たちへのじーふいのレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
4.0
震災直後から、被災者の礼儀正しさは世界でも話題になった。大震災が起こっても、略奪や暴動がない、配給物資に並んで待っているという様々な被災者アゲ日本アゲなニュースが続いていたのを記憶している。『辛くてもみんな辛くて頑張っているのだから自分も頑張る。』この倫理観のプラスな面が強調、宣伝されていた。

震災から10年後にようやく礼儀正しい被災者像に縛られない震災に関する映画が公開されることになった。

礼儀正しい被災者の一人であっても行き場のない怒りを抱えている。

その怒りをどうするか。行き場(攻撃対象)を探す。圧し殺す。気づかないフリをする。忘れる。映画の中では怒りに対し様々な方法で対処しようとする。
この怒りは劇的に解決されるものではない、本作の答えは怒りに対して「声を上げる」べきであるというものだ。

やるせない日本社会を生きている我々は全員行き場のない怒りを抱えた礼儀正しい被災者である。「声を上げる」ことはできているだろうか、「声を上げる」隣人の声に耳を傾けているのだろうか。
じーふい

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