じーふい

コーダ あいのうたのじーふいのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

基本的には親離れと家族愛の話で、王道のハリウッド映画何だけれども、障害がやはり中心的なテーマだった。

聾者同士は手話という共通言語でコミュニケーションがとれていて、社会生活も普通に送れている。健常者も障害者も違いはない!と思わせておいて、コンサートの無音シーンで、やはり音がない世界というものは辛いということを思い知らせてくれ、健常者も障害者も違いはないという認識自体も健常者側の驕りに過ぎないのではないかと気付かされるいいシーンだった。

ルビーが家族の採った魚が安く買い叩かれているのを見かねて、自分で交渉しようとするが、それを兄や父は止める。障害者のプライドや偏屈さを見てやれやれと思うが、それも先程の無音シーンが効いてくる。

聴覚障害者で分かりやすくなっているが、高齢者だとか知的障害者等のケースで明らかに援助が必要な当事者が、プライドや偏屈さのため助けてあげたくてもできないという問題に直面している。単に説明すれば、納得して助けを求めてくれるというわけでもなく、実際に当事者になってみないとやはり分かる事はできないのだろう。

無音シーンの効果は、観客は音が戻ってくるが、あの家族はずっと音のない世界にいるままというところが頭にこびりついたまま、その後の映画を観なければならないというところだ。

そこで拍手を送る家族、改めて歌わせて喉に手を当てる父親、最後に大学に送り出す家族全員が愛おしく感じる。

ルビーが自分が健聴者に生まれてどう感じたか聞いて、それに母親が正直に障害者であったほうが良かったと答えるのはギョッとするが、やはりあの無音シーンの後なので、納得できてしまった。
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