このレビューはネタバレを含みます
東北にゆかりがあるので開始直後からショックというか複雑な心境
撮影も廃材を使って被災地を再現したらしい。10年という年月は現地で当時の光景を再現できるまでに、ある部分では復興したのかと思う反面、そんな部分だけが切り取られ広くイメージされてしまうことに不安を感じたりする。
作中でも東京出身の蓮田刑事が自分には分からないと言っていたが、やはり温度のある体験には質量がのっかる。と思う。それは震災当初だけでなく、その後の経過をどこでどのように過ごすかもおんなじ。
タイトルの「護られなかったもの」というのは文字通り何かしらの理由や弊害によって護られなかった人達のことだが、作中の人たちはみんな、護りたかったものがあって自分が護れなかった後悔の念がある人たちのようだ。
その上でそれぞれが何を護ろうとしたのか。という点に焦点を当てながらみる。
すると、殺害された保健事務所の２人の考え方が現代の一般的な価値観として共有されてしまっているのではないか。
人の生き死にに関わるから、「いや、私はそんなことは。。。」と思うかもしれないが、三雲が主張した原理原則に則るというAI的思考に現代人の考え方は偏ってしまっていないだろうか。
利根の取調べ担当を代わるように懇願する笘篠刑事が「どうしてこんなにもがんじがらめなんだ！！」という叫びはちゃんと向き合おうとする考え方の主張に聞こえる。
利根とかんちゃんがけいさんの生活と寄り添いながら敵意を持つきっかけのシーンが違っているようにも見えた。
役所での出来事は2人とも憤りを感じていたように見えるが、火葬場でのシーンは上崎に受けた印象が2人では違うように見えた。
これは2人のそもそもの性格なのか、境遇なのか？
俳優さんみんなすごいんだけど、なんといっても清原伽耶ですよ。
ストーリーが進んでもどこから見ても善人なんだよね。これで19歳ですか。
(個人的には怒りの時の広瀬すずくらい難しい役かなと思う)
あとは宮城の話なので東北訛りで話すんだけど倍賞美津子はほとんど違和感なく聞いていられる。苗字は秋田由来らしいし、ご出身も茨城だから御国言葉は耳慣れしてたのかな？
演出なのか世代間で訛りの強弱をつけているのもよかった。関東からすればなまって聞こえるかもしれないけど、若い子達はテレビで標準語聞いて育ってるからそこまで強くないんですよね。
とにかく見てほしい。
自分の中の善悪の基準がどういうシーソーゲームしてるかわかると思います。
