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護られなかった者たちへのタクのレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
3.5
生活保護と震災というテーマを豪華俳優陣で送る子玉の1作!
[ストーリー]
警察官の笘篠誠一郎(阿部寛)は2011年に起きた東日本大震災で家族を失い仕事に没頭する日々を送っていた。

そこに新たな連続凶悪事件が舞い込んでくる。
1人目の被害者は三雲(瑛太)。
遺体は体を強く縛り付けられ1週間何も食べる事が出来ず餓死するという恐ろしいものだった。
2人目の被害者も同じ殺害方法で発見された。この2人の被害者にはある共通点が、、それは福祉保険事務所の事務員であること。
そうした関係性を導き出した笘篠は捜査を続けていくと、2011年に起きた東日本大震災で出会った3人の人物が捜査線上に浮かび上がってくる、、、。
[キャスト]
佐藤健 阿部寛
林遣都 清原果耶 永山瑛太
緒形直人 井之脇海 宇野正平 鶴見辰吾
吉岡秀隆 倍賞美津子
[監督] 瀬々敬久
[感想]
・今の社会に突きつける強いメッセージ

自然災害で守られなかった者たち、そういった人が居たのにも関わらずこの災害は生きてる人の人生も変えてしまった。

それは何かと言うと家やお金が無いということだ。
そういった困窮している人を助ける役目が生活保護の仕事だ。
しかし、今作焦点が当てられてるのは生活保護の受給を申請したのにも関わらず正当に受給されていないという悲惨な人々が沢山居たということだ。
こういった不当な扱いを受けて人々を今作では倍賞美津子や、佐藤健といった演技派が熱演している。

映画の中でもセリフとしてあったが、
自然災害で失われ、無差別に奪われた命

けど生きてたなら救えたはずなのに、、
生活保護が受けられず、護れたのに、、
東日本大震災の影響のせいもあってか申請する制度や新たな改革もあり今作の様な被害者が出てきてしまったのだろうがあまりにも切なすぎるし、なんとも悔しい。
この作品を通して全く無頓着であった生活保護というものに少し調べてみたいとおもう。

・心に残った演技
[阿部寛]…刑事として鋭い視線を常に向けているのたが誰よりも被害者の事や、
周りの人物の事を調べあげる熱い刑事なのだ。
被害者、加害者どちらも護ろうとする
人物、そういったキャラクターが阿部寛には凄くピッタリであると思った。

[佐藤健]…普段は心を閉ざしており笑顔や自分の思ってる事を言い表せない不器用な男でありながら、自分のことを息子の様に育ててくれた、けい(倍賞美津子)
を誰よりも想い生きてて欲しいと強く願う彼の姿は、熱く情熱的でした。
この演じ分けが流石だと思ったし、
彼が家族の温かさを感じ、涙するシーンは本当に良かったです。

[清原果耶]…連続殺人のキーマンである彼女ですが、今作は非常に難しい役どころだったと思います。
その理由としては、生活保護の職場で働きながらも生活保護の不便さ、生活保護が必要な人に受給されない理不尽な気持ちを演じ分けなければいけないからです。
今作のラストでも彼女の新しい顔を見せてくれる演技があり演技の振り幅には驚かせれましたね!
[最後に]
災害と生活保護という我々の住む現代にも、伝わるメッセージ性を伝えつつも

犯人が誰なのか? 一体何が目的なのか?
とかサスペンスものとしても見応え抜群でした!
若干スローテンポなのが気になりましたが、出てくる人物の深堀がしっかりとされていたので振り返ってみるとこのスローテンポは適当だったのかなと感じました。
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